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2011 年度 実績報告書

無機ヒ素の無毒化処理技術を用いた慢性ヒ素中毒の予防と改善の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23406003
応募区分海外学術
研究機関北里大学

研究代表者

山内 博  北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)

研究分担者 吉田 貴彦  旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
高田 礼子  聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30321897)
キーワードヒ素 / 無毒化 / アルセノベタイン / 慢性ヒ素中毒 / 安全性試験 / 二酸化チタン / 触媒サイクル / ヒ素汚染
研究概要

アジア諸国の慢性ヒ素中毒の現状は歴史的に例を見ない規模で発生し、被害者は約6,000万人に達し、その原因は、自然由来の無機ヒ素による井戸水汚染である。中毒の改善が進まない最大の要因は、井戸水から除去した無機ヒ素を適切に最終処理できない技術不足が存在する。筆者は猛毒な無機ヒ素を人工的に無毒のヒ素であるアルセノベタイン(AsB)に変換処理し、安全な保管や自然還元を検討している。無機ヒ素の無毒化処理の知識と技術は、国際的にも初めてである。慢性ヒ素中毒は無機ヒ素暴露を軽減・停止することにより症状の改善が先行研究で明らかとなり、すなわち、無機ヒ素の毒性が維持した隔離・放置の方法ではなく、毒性を消去する新たな発想が当該問題に寄与すると考え、無機ヒ素の人工的AsBへの合成法と安全性を検討した。
無機ヒ素(iAs)からAsBの合成について、これまでの検討の結果、ビタミンB12とアミノ酸からトリメチルアルシンオキシド(TMAO)に変換し、引き続き、アミノ酸存在下、ヨード酢酸で処理することにより、AsBを合成することに成功した。また、ビタミンB12、酸化チタン、メチル基供与剤から成る触媒システムにより、iAsからTMAOのメチル基転移反応について、高率の触媒サイクルを実現することに成功した。すなわちアミノ酸、ビタミンB12を必要としない、究極の低コスト化の無毒化システムを検討した。さらに、酸化チタンと酢酸存在下、光照射によりヒ素化合物が無毒のAsBに変換される条件も明確にした。
合成AsBや中間体ヒ素の毒性試験をヒト子宮頸がん細胞、ヒト前白血病由来細胞を用いて細胞毒性試験(アポトーシス、DNA損傷、活性酸素種、コロニー形成法、微少核形成法等)を行った結果、陽性対象の三酸化ヒ素に比較して顕著に減毒されていた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

無機ヒ素の無毒化ヒ素であるアルセノベタイン(AsB)の高率合成法の検討を行った結果、二酸化チタン、酢酸、紫外線の条件の組合せにより、無機ヒ素のAsBへの変換を可能とした。
人工合成のAsBの細胞毒性試験から、明確に毒性の生じない結果を得た。

今後の研究の推進方策

今後の課題として、無機ヒ素のAsBへの変換に関して、可能な対象被験物を、汚染飲料水以外にも応用が可能かを検討する。ヒ素汚染土壌、ヒ素化合物半導体、ヒ素化学兵器等を考えている。また、無機ヒ素以外のメチルヒ素化合物にも応用が可能かを検討する。AsBへの変換後の物資が無毒化物になることから、このAsBの自然環境中での挙動を長期観察も重要課題と考え検討する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 酸化チタン光触媒を用いた無機ヒ素の無毒化処理技術の開発2012

    • 著者名/発表者名
      中村浩一郎、山内博
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学日吉キャンパス(横浜市)
    • 年月日
      2012-03-27
  • [学会発表] 酸化チタン光触媒を用いたヒ素の無毒化とレアメタルのリサイクル技術の開発2012

    • 著者名/発表者名
      中村浩一郎、山内博
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      慶応義塾大学日吉キャンパス(横浜市)
    • 年月日
      2012-03-26
  • [学会発表] 無機ヒ素の無毒化処理技術2011

    • 著者名/発表者名
      山内博
    • 学会等名
      資源素材学会2011
    • 発表場所
      大阪府立大学中百舌鳥キャンパス(大阪府堺市)(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-27

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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