研究課題/領域番号 |
23406003
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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研究分担者 |
高田 礼子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (30321897)
吉田 貴彦 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90200998)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ヒ素 / 無毒化 / アルセノベタイン / 慢性ヒ素中毒 / 安全性試験 / 二酸化チタン / 触媒サイクル / ヒ素汚染 |
研究概要 |
アジア諸国の慢性ヒ素中毒の現状は歴史的に例を見ない規模で発生し、被害者は約6,000万人に達し、その原因は、自然由来の無機ヒ素による井戸水汚染である。中毒の改善が進まない最大の要因は、井戸水から除去した無機ヒ素を適切に最終処理できない技術不足が存在する。筆者は猛毒な無機ヒ素を人工的に無毒のヒ素であるアルセノベタイン(AsB)に変換処理し、安全な保管や自然還元を検討している。 これまでの研究から、無機ヒ素(iAs)からAsBの合成について、これまでの検討の結果、ビタミンB12 とアミノ酸からトリメチルアルシンオキシド(TMAO)に変換し、引き続き、アミノ酸存在下、ヨード酢酸で処理することにより、AsB を合成することに成功し、また、ビタミンB12、酸化チタン、メチル基供与剤から成る触媒システムにより、iAs からTMAO のメチル基転移反応について、高率の触媒サイクルを実現することに成功し、さらに、現在は、アミノ酸、ビタミンB12 を必要としない、酸化チタンと酢酸存在下、光照射によりヒ素化合物が無毒のAsB に変換を達成した。一方、過去に金属のアルキル化化合物は重大な中毒事件を発生させた経緯がメチル水銀、アルキル鉛、アルキル錫が知られる。この様な背景から、本無毒化システムについては、水銀、鉛、錫に対するメチル化能の有無について検証を試みた。水銀、鉛、錫のメチル化体は、無機体よりも毒性が高い。ヒ素がメチル化される条件で、水銀、鉛、錫(50ppb)のメチル化体の生成は認められなかった。本無毒化処理システムは、酸化チタン、酢酸と水を使用し、有害な副生成物を生成しない、ヒト、環境に対して安全な無毒化処理法であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無機ヒ素の無毒化ヒ素であるアルセノベタイン(AsB)の高率合成法の検討を行った結果、二酸化チタン、酢酸、紫外線の条件の組合せにより、無機ヒ素のAsBへの変換を可能とした。人工合成のAsBの細胞毒性試験から、明確に毒性の生じない結果を得た。 この無毒化システムにおいて他の金属をメチル化して、有害性が上昇する結果は避ける必要があった。そのために、過去の有名な中毒事例を参考に、水銀、鉛、錫を検証した。いずれの金属もアルキル化することはなく、毒性学的に安全性が確保された。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題として、無機ヒ素のAsBへの変換に関して、可能な対象被験物を、汚染飲料水以外にも応用が可能かを検討する。ヒ素汚染土壌、ヒ素化合物半導体、ヒ素化学兵器等を考えている。また、無機ヒ素以外のメチルヒ素化合物にも応用が可能かを検討する。AsBへの変換後の物資が無毒化物になることから、このAsBの自然環境中での挙動を長期観察も重要課題と考え検討する。
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