研究課題/領域番号 |
23406004
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
鳥羽 陽 金沢大学, 薬学系, 准教授 (50313680)
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研究分担者 |
早川 和一 金沢大学, 薬学系, 教授 (40115267)
亀田 貴之 金沢大学, 薬学系, 助教 (50398426)
唐 寧 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90372490)
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キーワード | バイオマーカー / 大気汚染 / アジア / 有害化学物質 / 曝露評価 |
研究概要 |
アジア地域(中国,タイ,ロシア)において、大気(室内)環境汚染の程度と汚染の特徴の異なる地域住民を対象にした曝露調査を実施し、尿試料について3種のバイオマーカー(発生源マーカー,曝露マーカー,及び影響マーカー)を測定し、同時に大気中の粉塵や汚染物質濃度を測定する。得られたデータ群をプロファイル化して網羅的に解析し、曝露量に対する各燃焼発生源の寄与度や生体影響との関係を明確にすることで地域住民の曝露実態や地域特性を明らかにし、環境改善のための政策立案に役立てることを最終目標とする。本研究で用いる尿中バイオマーカーは、呼吸を介して曝露された大気汚染物質に由来する成分を尿中から検出し、尿中排泄レベルによって曝露量や燃焼発生源寄与度を評価するものであり、従来の大気観測とは異なるより実際の人体曝露量を反映した健康影響評価を行うことができる。平成23年度は次の研究を実施し、成果を得た。 予備調査として、タイ・チェンマイの農村において、室内での木材燃焼煙への高濃度曝露が予想される住民の家屋において個人サンプラーにより微小粒子状物質(PM2.5)を捕集し、PM2.5に含まれる発がん性/変異原性を有する多環芳香族炭化水素(PAH)を測定した結果、高濃度のPAHに住民が曝露している可能性が示唆され、木材燃焼煙のマーカーであるレボグルコサンも高かったことから、調査した農村の住民が木材燃焼煙への曝露の影響を本調査する上で最適であると判断した。バイオマーカーについては、酸化ストレスを誘導するキノン系化合物の尿中代謝物(フェナントレンキノンのグルクロン酸抱合体)とDNAの酸化損傷のマーカーとして核酸塩基の酸化物である尿中8-ヒドロキシデオキシグアノシンの質量分析による新規分析法の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付内定が平成23年11月末であったため、当初の計画通りに実験を行うことが困難であったが、採択に関わりなく研究を進めていたため順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
木材燃焼煙、石炭燃焼煙、ディーゼル排ガスに高濃度曝露している地域住民を予備調査により見出し、大気汚染への曝露について特徴のある被験者集団について本調査を実施し、被験者から得た尿試料のバイオマーカー分析と個人サンプラーによる粉じんの化学分析を行い、データ解析により被験者の曝露量や燃焼発生源の寄与度について明らかにする。
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