研究課題
アジア地域(中国,タイ,ロシア)において、大気(室内)環境汚染の程度と特徴の異なる地域住民を対象にした曝露調査を実施し、被験者の大気(室内)汚染物質の曝露量と生体影響を評価することを目的として三種類のバイオマーカー(発生源マーカー,曝露マーカー,及び影響マーカー)を測定し、同時に大気中の粉塵や汚染物質濃度を測定する。得られたデータを解析し、曝露量に対する各燃焼発生源の寄与度や生体影響との関係を考察して地域住民の曝露実態や地域特性を明らかにし、環境改善のための政策立案に役立てることを最終目標とする。本研究で用いる尿中バイオマーカーは、呼吸を介して曝露された大気汚染物質に由来する成分を尿中から検出し、尿中排泄レベルによって曝露量や燃焼発生源寄与度を評価するものであり、従来の大気観測に加えて実施することでより正確な人体曝露量を反映した健康影響評価を行うことができる。平成26年度は次の研究を実施した。肺がんによる死亡率が高く、大気汚染が深刻化しつつあるタイ・チェンマイにおいて汚染の程度やその特徴が異なる地域住民(都市部と農村部)の採取済みの尿試料について、発がん性を有する多環芳香族炭化水素(PAH)の曝露マーカーである1-ヒドロキシピレン(1-OHP)及び酸化ストレスを誘導するPAHキノンの代謝物であるフェナントレンキノン(PQ)の定量を完了した。農村住民の尿中1-OHP及びPQ濃度は、都市部住民より有意に高く、相関性も高いことから、家屋内での木材燃焼により多量のPAH及びキノン類に曝露していることが明らかになった。しかしながら、DNA酸化損傷の影響マーカーである尿中8-OHdG濃度は、各群間にはほとんど有意差は認められず、また前述の曝露マーカーや大気中PM2.5との相関性が低かったことから、高濃度の木材燃焼煙に曝露しても必ずしも酸化ストレスが亢進しないことが結論付けられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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