研究課題/領域番号 |
23406005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
環境系薬学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高野 幹久 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20211336)
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キーワード | タイ植物 / ドイ・プイ地域 / Kaempferia parviflora / 抗がん作用 / 抗ガン剤耐性克服作用 / Ellipeiopsis cherrevensis / ネクローシス / 活性酸素種 |
研究概要 |
タイ国の天然植物には、未知の医薬品シーズが眠っているものと思われる。我々はこれまでタイ国の研究者から提供を受けたタイ国産天然植物抽出物の中に、抗がん作用あるいは抗がん剤耐性克服作用を示すものがあることを明らかにしてきた。本研究では、それらタイ植物(Ellipeiopsis cherrevensis, Ancistrocladus tectorius, Micromelum minutum)の類縁植物に焦点を絞り、現地にて情報・試料の収集にあたるとともに、薬理作用について科学的に検証することを目的としている。 本年度の成果は以下の通りである。 1)チェンマイのドイ・プイに暮らす山岳少数民族のモン族は、病気の治療に天然植物を利用してきた長い歴史を持つ。我々はドイ・プイでタイ植物を伝承医薬として扱っている店舗を訪れ、我々がこれまで研究対象としてきたKaempferia parviflora(タイ名Krachai dam)が汎用されていることを確認するとともに、実際に販売されている乾燥品を入手した。またドイ・プイで雨季にのみ採取可能であり、抗がん作用を持つとされる希少な植物の乾燥品も入手した。チェンマイ大学を訪問し、本植物についても討議したが、植物の同定には至らなかった。 2)タイ国の研究協力者(マヒドン大学、コンケン大学の薬学研究者)とは、関連情報及び試料入手の可能性について、現在も討議を続けている。 3)現在保有しているKPO18(タイ植物Ellipeiopsis cherrevensisの抽出物)の抗がん作用について、パクリタキセル耐性HepG2細胞およびcolon-26細胞を用いて解析した。その結果、KPO18はこれら細胞に対してネクローシスを誘発すること、またN-アセチルシステインによってネクローシスが抑制されることから活性酸素種(ROS)の関与が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は2011年9月上旬、タイ国チェンマイおよび近郊のドイ・プイ地区を訪れ、チェンマイ大学の協力を得て、情報・試料を収集することができた。しかし、その後、バンコクあるいはコンケンにおいても情報・資料収集にあたる予定であったが、未曽有の大洪水が発生し、訪問することはできなかった。この点を除けば、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように、2011年にはタイにおける大洪水の発生で、バンコクあるいはコンケンの訪問が果たせなかったが、沈静化したため、来年度は現地での情報・資料収集が可能と思われる。現在、研究室でバンコク・マヒドン大学の博士課程大学院生を受け入れているため、現地の状況を踏まえつつ、来年度の研究計画を策定しているところである。
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