研究課題
タイ国の天然植物には、未知の医薬品シーズが眠っているものと思われる。我々はこれまでタイ国の研究者から提供を受けたタイ国産天然植物抽出物の中に、抗がん作用あるいはP-糖タンパク質に起因する抗がん剤耐性に対して克服作用(P-糖タンパク質阻害作用)を示すものがあることを明らかにしてきた。本研究では、これまでに所期の効果を示したタイ植物の類縁植物に焦点を絞り、現地にて情報・試料の収集にあたるとともに、薬理作用について科学的に検証することを目的としている。本年度の成果は以下の通りである。1)コンケン大学の研究者と討議の上、タイ植物のうちAnnonaceae科、Rutaceae科、Zingiberaceae科の植物に焦点を絞り、これらの科に属する9種の植物の50%エタノール抽出物を同大学から提供していただいた。2)我々が樹立したパクリタキセルに耐性を示すヒト肝がん由来PR-HepG2細胞を用い、これら抽出物によるP-糖タンパク質介在性のパクリタキセル排出阻害効果を解析した。その結果、Zingiberaceae科に属するKaempferia marginataの抽出物(Z02)は、強力なP-糖タンパク質阻害効果を示すことが判明した。また、パクリタキセルとZ02の併用によって、PR-HepG2細胞のパクリタキセル感受性が増強されることが示された。従って、Z02はP-糖タンパク質に起因する抗がん剤耐性に対し克服効果を有するものと考えられた。3)コンケン大学に加えて、バンコックのマヒドン大学の研究協力者とも、関連情報及び試料入手の可能性について、現在も討議を続けている。
2: おおむね順調に進展している
2012年度はコンケン大学やマヒドン大学の研究者と討議の上、タイ植物に関する必要な情報、資料を入手することができた。それら試料を用いた研究も進んでおり、本計画はおおむね順調に進展している。
現在の試料はタイの大学から供与されたものと使用しているが、希少な植物については、研究を展開する上で、充分な量の資料が入手できないことも多い。今後は、「入手しやすさ」という観点からもタイ国植物の試料の選定を行いたい。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (1件)
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