インドネシアにおける網羅的な原虫同定に分子分類を活用し、宿主特性との相関解析によって分子疫学的研究を実施した。成果は以下の通り。(1)アメーボゾア、フォルニカータ、パラバサリア、ストラメノパイルの調査地域における高度まん延を確認した。(2)学童の寄生原虫の感染率と年齢および性別との相関の可能性が種々の原虫について示唆された。(3)学年が進むにつれて低下するジアルジアの感染率は、主に遺伝子型Aの感染率の低下によって起こる。(4)腸トリコモナスは、特定株の人獣共通感染症として同地域にまん延している。網羅的なアプローチでの分子疫学は、途上国における寄生原虫のまん延実態の解明に極めて有用と考えられた。
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