研究課題/領域番号 |
23406008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
寄生虫学(含衛生動物学)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
皆川 昇 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00363432)
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研究分担者 |
井上 真吾 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (00346925)
二見 恭子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30432983)
比嘉 由紀子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40404561)
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キーワード | 蚊 / ウイルス / 感染症 / 南東アフリカ / 環境 / 気候 / 分布 / 大地溝帯 |
研究概要 |
南東アフリカでは、デング熱や西ナイル熱などの感染症の侵入と拡散の兆候が見られる。その原因として、気候変動などの環境変化の影響とともに、アフリカ大陸外で媒介能力の高まった都市型ネッタイシマカとアジア起源のヒトスジシマカの侵入が懸念されている。この地域では、HIVとマラリアの研究は欧米研究者を中心に活発に行われているが、これら再興感染症に関する研究は皆無である。本研究では、蚊媒介性ウイルスと媒介蚊の分布と拡散経路、そして、それらに影響を与える環境要因を明らかにする。環境要因には、大地溝帯の複雑な地形に伴う気候などを含む。得られた結果をもとに環境変化にともなう流行の予測と対策への貢献を目指す。緊急性、及び、学術的な新規性と重要性は非常に高い。 南東アフリカにある海岸沿いの低地、大地溝帯、隣接する高地から蚊を採集し、蚊からウイルスを分離する。そして、蚊とウイルスの種類、分布と遺伝情報を明らかにする。採集地点は、都市部と農村部も含み、各地点の気候、植生、標高、地勢などのできるだけ多くの環境情報を衛星画像なども使って収集し、蚊とウイルスの分布が環境要因で説明できるかを調べる。遺伝情報をもとに、採集地点間(蚊の集団間)の遺伝的類似性を解析する。遺伝情報の地理的類似性もどのような環境要因で説明できるか明らかにする。これらの解析結果をもとに再興感染症を引き起こすウイルスと媒介蚊の拡散経路を明らかにするとともに、将来の流行予測をモデル化する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでマラウイ国内広域での採集を実施して、多数の蚊を採集した。採集した蚊の体内のウイルス同定も始めており、マラウイにおける活動は順調である。しかし、初年度に予定していたモザンビークの2地域での採集が実施できなかった点が予定外であるが、マラウイ国内を計画以上に網羅しており、それらを考慮すれば、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、周辺国でも蚊の採集を実施する。マラウイから採集された蚊のDNAを中心に遺伝解析を本格的に進める。遺伝情報が得られ次第、マラウイ国内の各集団間の多様性と類似性を明らかにする。さらに、比較として既にケニアから採集してある媒介蚊からのDNA抽出と遺伝子分析を進める。既に得られている採集地点と蚊の種類に関する情報を地理情報システムを使って地図上に載せ、分布図の作成を始める。さらに、現地と衛星画像からの環境要因に関するデータの収集を継続するとともに、蚊の分布と環境要因との関係の分析を進める。この作業は情報が入り次第、随時更新していき、蚊の分布に影響を及ぼす重要因子を明らかにし、分布予測を行うモデル化の準備を進める。
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