研究課題
世界の 5 歳未満児死亡数は 920 万人であり、その 20% は下痢性疾患に因る(UNICEF、2007年、世界子供白書)。赤痢アメーバ症は発展途上国における小児下痢症の主要原因であり、世界中の感染者人口はおよそ 5000 万人、同症で毎年 10 万人の命が失われている。しかしながら新生児・乳児における赤痢アメーバの感染状況は不明なままである。我々は赤痢アメーバ症が蔓延している地域、特にバングラデシュにおいて、国際的な共同研究を展開している。そして新生児・乳児における赤痢アメーバの感染状況を明らかにする目的で、ダッカにあるミルプールというスラム街において、新生児・乳児が居住する家庭を週2回訪問して対象児の健康状態をモニタし、毎月1回健常便を回収すると共に、下痢の場合にはその下痢便も回収してきた。本年度は回収した下痢便から DNA を抽出し、赤痢アメーバに特異的な DNA 配列を定量的に増幅し赤痢アメーバの検出を試みた。出生から2年の間におよそ8割の子供が Entamoeba histolytica に感染し、2割弱の子供は E. histolytica 感染を伴う下痢症を呈した。Entamoeba moshkovskii 感染を伴う下痢エピソードも 40 例以上認められ、新生児・乳児における下痢エピソードと E. moshkovskii 感染との相関が示された。以上の研究より、新生児・乳児は高頻度に赤痢アメーバに感染している実態が浮き彫りになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS One
巻: 8 ページ: e82025
10.1371/journal.pone.0082025
http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/nekken/research/parasitology.html