研究課題/領域番号 |
23406010
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
山崎 浩 国立感染症研究所, 寄生動物部, 室長 (00138207)
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研究分担者 |
倉持 利明 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, 部長 (80277590)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 裂頭条虫症 / チリ / 生活史 / 感染経路 / 分子疫学 |
研究概要 |
裂頭条虫属条虫にはヒトに健康被害をもたらす種類が含まれているが、未だ生活史が解明されていないためにヒトへの感染経路が不明な種が多い。チリは世界有数の養殖サケの生産国であり、わが国はそのサケの輸入国であるが、そのサケには裂頭条虫の寄生がみられる。チリには3種の裂頭条虫が分布するとされるが、その鑑別にはDNA解析による種の再検討が必要であった。また、チリでは広節裂頭条虫による人体感染事例が発生しているが、この寄生虫は本来、北半球に分布する種類であるが、どのような経路によって南半球に分布するようになったのか、どのようにして生活環を維持できるようになったのか、ヒトへの感染経路を含めた調査を行った。平成24年度の研究成果は、 ①チリ南部のプエルトモン近郊にあるジャンキウエ湖やバルディビア近郊のパンギプジ湖とその周辺河川に生息する野生、または養殖ニジマス、ブラウントラウト、あるいはギンザケを調査した結果、場所によっては100%の感染率で裂頭条虫の幼虫(=ヒトへの感染型)が寄生している検とが判明し、採取された裂頭条虫はDNA解析による種の鑑別診断を継続して実施中である。 ②裂頭条虫の幼虫が採取された魚種もDNA解析に基づいた種の同定を行っているが、チリで最も重要なヒトへの感染源はニジマスと考えられた。 ③サケ・マスの生息地によっては、少数ながらギンザケやブラウントラウトにも裂頭条虫幼虫が寄生していたことから、これらのサケ・マスも感染源となりうると考えられた。 ④ヒトの感染者やイヌ、あるいはオタリアなど野生動物から得られた裂頭条虫の解析結果から、チリにおける裂頭条虫類の生活史の概要やヒトへの感染経路が次第に明らかになってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の調査では、研究材料として予想以上の数(約350頭)の裂頭条虫の幼虫が採取でき、またヒトや野生生物からも裂頭条虫の成虫が得られたことにより、当初の目的達成に向かって順調に進んでいる。ただ、採取した虫体の数が多くDNA解析に時間を要しているが、支障はない。
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今後の研究の推進方策 |
前項で記載したように、研究目標達成に向かって進展しているので、特別な推進方策はない。
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