研究課題/領域番号 |
23406013
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
市村 宏 金沢大学, 医学系, 教授 (10264756)
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研究分担者 |
畢 袖晴 金沢大学, 医学系, 助教 (50565413)
石崎 有澄美 金沢大学, 医学系, 助教 (30456420)
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キーワード | ケニア / HIV-1 / 小児エイズ / 宿主因子 / 国際研究者交流 |
研究概要 |
研究代表者のグループは、ケニアのニュンバニ孤児院でヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染小児100余名の追跡調査を2000年から半年に1度行っている。(1)今年度、新たにプロジェクトを立ち上げるにあたり、現地を訪問し、HIV-1感染小児の追跡調査の目的と方法の説明・確認を行った。(2)2011年4月と10月に採取・凍結保存された検体(血漿と末梢血単核球)を金沢大学に移送し、血中ウイルス量(pVL)ならびにHIV-1薬剤耐性関連遺伝子変異の解析を行った。一次抗レトロウイルス療法(cART)開始後24ヶ月以内に75名中22名(29.3%)の児で治療が失敗(pVL>5,000コピー/ml)し、その内21名に薬剤耐性ウイルスが検出された。一次cART失敗例に対し、薬剤を変更したところ(二次cART)、二次cART開始後半年以内に85%の児で、18ヶ月以内に全例で、pVLが検出限界以下に減少した。末梢血CD4+T細胞はpVLに関わらず全ての児で増加した。適切なモニタリングによる治療薬の変更により、小児でもcARTによる十分な治療効果が期待される。(3)すべての児の末梢血単核球からゲノムDNAを抽出した。長期未発症者/遅発症者15名と早期発症者15名のゲノムDNAを対象に、ゲノムワイドヒトSNPアレイ(アフィメトリクス社)を使用し、それぞれ約250,000箇所の遺伝子多型解析を行った。現在、結果を解析中であるが、今までのところ各群に有意な遺伝子多型は見つかっていない。薬剤代謝に関連する遺伝子変異の解析、HLAタイプと病態進行に関しても現在、解析を進めている。(4)長期未発症者/遅発症者と早期発症者から分離されたウイルス遺伝子(nef,gag,eng)の解析を現在、順次行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケニア・ニュンバニ孤児院のHIV-1感染小児の追跡調査を継続できる体制を再構築できた、即ち、6ヶ月に1度の検体採取・保存、小児科医による診察(週1回)、当研究室で博士課程を修了したケニア人研究者による臨床検査室の管理体制を構築した。集めた検体の金沢大学への移送も終了し、これらの検体を用いて当初予定していた実験を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、長期未発症者/遅発症者と早期発症者を対象にウイルス側因子の解析を継続するとともに、遺伝子多型解析など、宿主因子の解析を行う。
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