研究課題/領域番号 |
23406013
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
市村 宏 金沢大学, 医学系, 教授 (10264756)
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研究分担者 |
石崎 有澄美 金沢大学, 医学系, 助教 (30456420)
畢 袖晴 金沢大学, 医学系, 助教 (50565413)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | HIV-1感染小児 / ケニア / ウイルス因子 / 宿主因子 |
研究概要 |
研究代表者のグループは、東アフリカに位置するケニアのニュンバニ孤児院においてHIV-1母子感染小児を追跡調査している。本研究では、これらのHIV-1感染児の中の長期未発症群/遅発症群と早期発症群を対象に、(1) 網羅的なゲノム多型解析により小児エイズ発症に関わる宿主因子を明らかにする、(2) 既報の成人HIV-1感染者の病態進行に関与する宿主因子とHIV-1感染小児の病態進行との関連を解析し、小児エイズ発症に関わる宿主因子を明らかにする、(3) HIV-1感染小児の病態進行に関与するウイルス側因子を明らかにすることを目的としている。 これまでの検討の概要は以下のようである。 1. 長期未発症者/遅発症者15名と早期発症者15名のゲノムDNAを対象に、ゲノムワイドヒトSNPアレイを使用し、それぞれ約250,000箇所の遺伝子多型解析を行ったが、各群に有意な遺伝子多型は見つかっていない。 2. 114名中89名の児のHLA-A/Bのタイピングに成功した。早期発症群では長期未発症群/遅発症群に比べHLA B*0801、HLA B*4201、HLA B*4501が有意に高率にみられ(P<0.05)、これらのHLAタイプがエイズ病態進行に関与している可能性が示唆された。 3. 長期未発症者/遅発症者と早期発症者から分離されたウイルス遺伝子(gag, env)の比較解析の結果をまとめ、HIV-1感染小児の病態進行に関与するウイルス側因子について国際学術誌に投稿中である。 4. 二次抗レトロウイルス薬の効果に関するデータをまとめ、国際学術誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノムワイドヒトSNPアレイを使用した遺伝子多型解析では、長期未発症群/遅発症群と早期発症群それぞれに有意な遺伝子多型は見つかっていないため、現在、既報の成人HIV-1感染者の病態進行に関与する宿主因子とHIV-1感染小児の病態進行との関連の解析を並行して行なっている。また、長期未発症者/遅発症者と早期発症者における遺伝子多型解析を金沢大学に(平成26年8月)設置予定の次世代シークエンサでも行なう予定にしている。 長期未発症者/遅発症者と早期発症者から分離されたウイルス遺伝子(nef, gag)の解析を終了し、論文を国際学術誌に投稿している。 また、二次抗レトロウイルス薬の効果に関するデータを解析し、論文を国際学術誌に投稿している。
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今後の研究の推進方策 |
1.ケニア・ニュンバニ孤児院のHIV-1感染小児の追跡調査を継続する。即ち、6ヶ月に1度の検体採取・保存、小児科医による診察(週1回)、当研究室で博士課程を修了したケニア人研究者により臨床検査室を管理する体制を維持し(4月と10月に採血予定)、現地でのHIV-1株の薬剤耐性関連遺伝子解析を定着させる。 2.一次・二次抗レトロウイルス薬の効果に関するデータをまとめ、国際学術誌に投稿するとともに、効果的なモニタリング法について提言を行う。 3.長期未発症者/遅発症者と早期発症者から分離されたウイルス遺伝子の比較解析の結果をまとめ、HIV-1感染小児の病態進行に関与するウイルス側因子について明らかにする。 4.長期未発症者/遅発症者と早期発症者の末梢血単核球から抽出したDNAを用いて、既報の病態進行に関与する遺伝子多型の解析を終了し、論文にまとめる。 5.次世代シークエンサの使用が8月に可能になり次第、長期未発症者/遅発症者と早期発症者における遺伝子多型を網羅的に解析し、病態進行に関与する宿主因子を明らかにする。
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