研究課題/領域番号 |
23406014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
ウイルス学
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
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研究分担者 |
アハメド カムルディン 大分大学, 全学研究推進機構, 准教授 (00398140)
山田 健太郎 大分大学, 全学研究推進機構, 助教 (70458280)
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キーワード | 狂犬病 / 東南アジア / 中和抗体 / ワクチン |
研究概要 |
今年度は我々がすでに開発した、生きたウイルスを使用しないで迅速に狂犬病ウイルスに対する中和抗体価を安価に測定できるRAPINA法を、使用する単クローン抗体を複数用いることで、感度と特異度をさらに進化させた改良RAPINA法を開発し、その有用性を日本国内とタイ、スリランカの海外共同研究者の協力の下収集した、ヒト血清323例とイヌ血清527例を用いて、国際標準試験であるウイルス中和試験(RFFIT法)と比較することでその有用性を検討した。感染防御に必須のレベルである0.5国際単位を境にRAPINA法とRFFIT法を比較すると、陽性的中率はヒトで99.5%(182/183)、イヌで99.7%(345/355)、陰性的中率はヒトで98.6%(138/140)、イヌで95.6%(174/182),と非常に良好な相関を示した。試験の一致率を表すK値はそれぞれ0.98と0.96で非常に高性能な検査法であることが示された。さらに被検血清を希釈することで、半定量的に中和抗体価を評価することも可能となり、これまで一部で利用されてきたELISA法をはるかにしのぐ性能が示された(論文印刷中)。現在、海外共同研究者以外の米国、インド、タイの研究者から引き合いがあり、RAPINA法を提供し、第3者からのブラインドの評価を受けている最中でもある。 一方、狂犬病侵淫国である国々で、最大の媒介動物であるイヌでのコントロールを可能にするために、イヌに対するワクチン接種率の向上を図る目安として、中和抗体価の獲得状況の把握は必須の事項である。現在、フィリピンの研究協力者であるDr.Mirandaの指揮のもと、ボホール島でのイヌの中和抗体保有状況の調査が開始されている。ここで収集された血清を用いて、フィリピンと日本で独立して抗体価の測定を標準法とRAPINA法で行い、比較した結果を現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
改良した中和抗体評価系の評価に用いるヒトとイヌの血清収集が順調に進み、国際標準検査法との一致度も非常に満足のいくものであった。この結果を論文として投稿したところ、この検査法の有用性を高く評価してもらい、短期間で論文発行(印刷中)まで進展させることができた。また。海外研究協力者との連携、検体の収集、輸送なども滞りなく進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に則り研究を進展させるが、特にフィリピンボホール島での調査の結果に関しては、既に結果が得られているので、年内に論文としてまとめ報告を目指す。また、タイ赤十字研究所の共同研究者と均一な連携を取り、狂犬病ワクチン接種を要する免疫不全患者のリスト作りと、ワクチン接種レジュメと抗体測定のための採血を実行する。さらにRAPINA法の日本国内での臨床使用を目指し、イヌの血中抗体価評価用のために農林水産省への検査試薬としての認可を申請し、ヒト用としては厚生労働省への認可申請も目指す。
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