研究課題/領域番号 |
23406016
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
明石 秀親 独立行政法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力部, 派遣協力専門官 (30175773)
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研究分担者 |
JESMIN Subrina 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所・遺伝子治療開発研究室, 室長 (60374261)
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キーワード | Health microinsurance / Maternal and child health / South Asia / Bangladesh / Developing countries / Social innovation / Health improvement / Poverty reduction |
研究概要 |
目的:バングラディッシュ農村部の母体死亡率は非常に高い。グラミン銀行によるマイクロインシュアランスを母体とするヘルスケアシステム(Health micro-insurance program:HMI)は、この農村部女性の健康危機に対して実効性のある保険制度として、世界的な注目を浴びつつある。このバングラデシュ農村地域とHMIを対象として,以下の調査研究を行う。1)バングラデシュ農村部の女性/母親や家庭内の意思決定者が求める母子保健(制度)の条件や課題の抽出/評価。2)HMIにより提供されている母子保健パッケージへの高い需要の分析/理解。3)予防的/治療的の両面でより有効に、より最少のコストで最大限継続されうる特別な母子保健パッケージの設計/提案。この研究実績はバングラデシュや多くの発展途上国の母子保健の発展に貢献すると同時に、その成果は我が国の母子保健制度の改善や少子高齢化問題の対策等にも広く寄与することが期待される。 本年度(~平成25年3月31日)の研究実施計画 最初に、10の農村を研究対象として選出。6つの農村は、グラミン銀行によるマイクロインシュランスを母体とするヘルスケアシステム(Health micro-insurance program:HMI)のそれぞれの部門から、2つの農村は、他のHMI保険施設BRAC(Bangladesh Rural Advance event Comittee)から、1つはNorthernhalf(Rajshahi,Dhakaand Sylhetの三つの部門を含む)から、残りの2つの農村は、上記のHMIプログラム外から選出。それぞれの世帯からは、妊娠可能な女性と、世帯主に調査を行う。もし、妊娠可能な女性が世帯主の場合、彼女のみがその世帯の回答者となる。調査計画は、回答者から直接、確実な情報を収集する為、質問項目が順序良く配列されるよう、また途中、修正を入れ、実質的なものへと発展させる予定。データ収集と生きた情報の入力、管理作業を行う間、専門家をテータの収集と結果提出管理者として雇用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、このプロジェクトの1年目に、ほぼ100%の計画を成し遂げている。調査研究の為の質問事項を処理し、鍵となる資料提供者へのインタビューを行い、集中的なグループディスカッションを行った。予備調査によると、我々はすでにバングラディシュで上位10に入る健康の向上へのアプローチのうち、ヘルスmicro insuranceシステムの設立は上位から二位の座を占める。バングラディシュの様な発展途上国では、74%の研究参加者がヘルスmicro insuranceプログラムはバングラディシュの健康発展において無くてはならないものだと考えており、84%の参加者がヘルスmicro insuranceを経済地位の向上に効果的な社会的アプローチだと考えている。我々は強くこのグラミンヘルス(ノーベル賞受賞者のMuhamad Yunus教授が設立)の健康保険制度を評価しており、70%以上の研究参加者がこのグラミンヘルスMicro insuranceプログラムがバングラディシュの貧困の減少に効果的だと報告している。我々の詳細調査からは、80%以上の極貧困状態にある農村地帯と、発展途上都市に住む妊婦達が、妊娠中、妊産婦検診を受けていなく、極貧状態にない、42%の支払い能力のある農村地帯と、発展途上都市に住む妊婦のみが、妊産婦検診を受けている事が判明した。更に、たった6.39%の妊婦のみが病院での出産を受け入れられている。我々の最近の調査からは、バングラディシュの農村地域の妊婦の13.2%が糖尿病に苦しんでおり、たった5%の妊婦のみが治療を受けられた事が判明した。
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今後の研究の推進方策 |
この調査は以前進行中である。我々は今、発展途上国における、母子の健康向上の為のヘルスmicro insurance計画の集中的で入念な運営に対して、徹底的な調査を行っている。南アジアの国々、とりわけ、バングラディシュでの母子の健康状態は荒れており、貧困と、医療費が高額である事、ほとんどの農村地域の女性が、妊娠初期に産前ケアを受けることが出来ない事が起因となり、母子ともに死亡に至る確立が高く、多数の妊婦が困難に遭遇せざるを得ない状況である。我々の現在進行している研究が、バングラディシュの母子の健康に対して効果的な健康保険のモデルとして確立されるだろう。この研究プロジェクトはバングラディシュの隔絶された農村地域で、ほとんどの人々が健康上のケアを受けられない、貧困状況にある住民のもとで行われている。我々はそのような見放された住民が我々のディスカッションに活発に参加するよう、日々勇気づけながら直接一戸一戸訪問し調査・研究を推進していくものである。
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