研究課題/領域番号 |
23406017
|
応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
生田 和良 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (60127181)
|
研究分担者 |
高橋 和郎 大阪府立公衆衛生研究所, 副所長 (10171472)
渡邊 洋平 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50452462)
中屋 隆明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80271633)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 感染症 / ウイルス / 高病原性鳥インフルエンザ / 変異 / エジプト |
研究概要 |
高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒト感染事例は、現在では、東南アジアに加えて、エジプトにおいて急増している。H5N1ウイルスのエジプトへの侵入は2006年であり、東南アジア地域に比べると後発的であったが、その後速やかにアウトブレイクが蔓延化し、2009年以降では世界で最もヒト感染事例が多い特異な国となっている。そのため、エジプトの家禽由来H5N1ウイルスの進化動態を詳細に把握するとともに、ウイルスのヒト適応性獲得の推移やパンデミック化潜在性を先行的に評価する事が極めて重要である。 そこで、エジプトにおけるH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスについて、家禽由来ウイルス遺伝子配列と患者由来ウイルス遺伝子配列を網羅的に比較し、感染患者体内で選択されたと推定されるヒト適応性変異の候補を選定した。さらに当該変異を導入した組み換えウイルスを作出し、direct binding assay (ELISA)によって多くの変異がヒト型レセプター糖鎖への親和性を高めることを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H5N1ウイルスがヒト感染後に生体内で獲得しうるヒト適応性変異の候補を制定し、ヒト型レセプター糖鎖親和性に与える影響を網羅的に評価することで、H5N1ウイルスが感染患者体内で急速にヒト感染性を高めることを明らかにした。 また、2011-2013年にエジプトで流行したH5N1サンプルについて、農林水産大臣の許可を受けてエジプトから日本に移送するに至った。
|
今後の研究の推進方策 |
エジプトでは、アレキサンドリア大学が主催の熱性感染症に関する国際フォーラムに日本側研究者が出席し、また日本では、エジプト側研究者を日本に招へいし、微生物病研究所において免疫組織化学のテクニカルセミナーを実施した。このような企画を通じ、両国の研究者間の密接な情報・意見交換の機会を設けることができた。今後もできるだけ多くの機会をこのような企画に充てたいと考えている。
|