研究課題
チェルノブイリ事故後、長崎大学は、周辺3カ国において5年間で12万人の学童を対象として統一プロトコールによるスクリーニングを行い、事故当時小児であった世代に甲状腺がんが激増していることを示したが、同時に地区ごとの甲状腺がんの頻度と甲状腺結節の頻度が強く相関していることも明らかにした。このことは、甲状腺結節が将来の甲状腺がんの発症に関与しうる可能性を示すものであり、この群をフォローアップすることは甲状腺がん発症リスク群の同定に重要であると考えるに至った。そこで本申請では、チェルノブイリにおける甲状腺結節群を対象とした症例-対照研究を行い、甲状腺がん発症リスク因子の解明を行った。具体的には、ジトミール州において、事故後のスクリーニングで甲状腺結節を指摘された住民(結節群)と、甲状腺異常を指摘されていない住民を対照群として追跡スクリーニングを行い、甲状腺結節の長期的予後についての臨床疫学研究を行った。その結果、結節群では結節数、径ともに有意に増加していたのに対し、対照群では結節の発生は認められなかった。細胞診での悪性は結節群の3例のみであったが、悪性の可能性が否定できない判定困難例を併せるとその割合は対照群より有意に高かった。以上より、チェルノブイリにおいて甲状腺結節は、その後の径の増加に加え、将来的な甲状腺がんのリスクとなりうる可能性があり、今後被ばく線量との関連を含めたさらなる調査が必要であると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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