研究課題/領域番号 |
23406021
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藏崎 正明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (80161727)
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研究分担者 |
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (30142194)
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
齋藤 健 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40153811)
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キーワード | インドネシア / 内分泌撹乱物質 / 腐食物質 / 熱帯泥炭地 / 生活廃水汚染 / 陸水 / 血管内皮細胞 / 汚染機構 |
研究概要 |
本調査研究では、インドネシアのジャワを中心に、河川流域とその河川により潅漑される農地を対象として、内分泌撹乱化学物質を含む環境汚染の実態の調査解明、汚染化学物質の住民等への健康影響を把握し、開発途上国における明確な環境汚染の影響評価法の確立を目指す。そのため、工業化が遅れている地域として熱帯泥炭地を含み森林火災が頻繁に起こる中央カリマンタンと熱帯泥炭が存在しない西部インリアンジャヤを選択し、生活廃水による汚染を併せて調査し、人為的な汚染構造の解明に努める。 平成23年度はジャカルタ近郊のジャワ海流入河川水域、これまでの調査実績のある熱帯泥炭地帯の中にある中央カリマンタンのカハヤン川、セバンガウ川の流域におけるサンプルの収集を行なった。 河川中の全有機炭素、溶存態有機炭素濃度、pH、電気伝導度、溶存酸素濃度、陰イオン濃度、酸化還元電位等および混入大腸菌測定を携帯試薬など用いて行なったところ、カリマンタン地方では腐食物質による溶存有機炭素量が多く検出された。全ての地域で重金属の汚染は少なかったが、生活廃水および農薬汚染等が観察された。水界生態系食物網を構成する藻類、動物プランクトンなどの種組成をサンプリングしたサンプルより現在同定中である。その後、底生動物における形態異常について検討し、これらの結果より環境汚染物質の移行、蓄積過程を明らかにし、環境汚染物質の生態影響評価の指標確立に向けた資料の蓄積に努める予定である。 また熱帯泥炭地に多く含有される腐食物質の分析より、鉄および銅を豊富に含み、血管内皮細胞を用いた細胞生物学的実験から腐食物質がアポトーシスという細胞死を引き起こすこと、またその細胞死が酸化ストレスを増大させた結果であること、その細胞死に一酸化窒素合成酵素が関与していること等が新知見として確認された。次年度は、腐食物質摂取による住民健康影響も調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度予定されたサンプリングはほぼ予定通り進行し、生物試料以外の水および土壌サンプルは全て解析を終え、次年度の経年変化のサンプリングを待つ状態にある。ジャワ島における水銀汚染に関するデータも集稜しつつある。また、熱帯泥炭地由来の腐食物質がアポトーシスを誘導すること、及びそのアポトーシスを起こす機構に関して新しい知見を得ることができるなど思わぬ進捗を見せた項目もある。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、ジャワ島の生活廃水による都市汚染および水銀汚染のサンプル収集と解析、熱帯泥炭地に特有の腐食物質と住民の健康、および23年度明らかにした腐食物質を用いた毒性発現機構をより明確にするための細胞生物学的実験、新しい調査地のイリアンジャヤの予備調査などを進めていく。また、前年度少してをつけている住民へのアンケート等にも現地の研究協力者と密接な連絡を取り力を入れていきたい。 生物試料同定及び形態異常観察も現地大学との共同研究の形で進めていく予定である。
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