研究課題/領域番号 |
23406025
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
西山 利正 関西医科大学, 医学部, 教授 (10192254)
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研究分担者 |
三島 伸介 関西医科大学, 医学部, 助教 (70454618)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ビルハルツ住血吸虫症 / マラウイ共和国 / 集団治療 / 有病率 / 尿検査 |
研究概要 |
開発途上国を脅かす三大感染症(エイズ・マラリア・結核)には多くの資源が投入されて一定の成果を上げてきているが、同地域に跋扈するその他の感染症を始めとした種々の疾病には対策が十分には行き届いていないのが現状である。特に住血吸虫症は世界で約2億人が罹患し、約8億人が感染の危険にさらされている。マラウイ共和国は国土全域において住血吸虫症が流行しているが、こうした流行地域においてすら詳細な調査が行われていない。本研究では、同国におけるビルハルツ住血吸虫症の現状について調査し、効果的な対策法の確立を目指す。すなわち、①マラウイ共和国における調査地域全住民を対象としたビルハルツ住血吸虫症の有病率を経時的に調査する。②駆虫薬(プラジカンテル)を対象住民に継続的に投与することにより、有病率改善への効果を測定する。③申請者による予備調査で明らかになった、調査地域内での有病率の地域格差の原因を明らかにし、地域に合わせたより効果的な対策法を考案する。 本年度は昨年度に引き続き、調査地域における住民台帳を元に調査を遂行することができた。ただし、住民の流入や流出が不定期に且つ継続的に認められたため、住民台帳の修正を適宜行わざるを得なかった。駆虫薬の投与も住民全員を対象としているが、8割以上の住民に投与することができた。ビルハルツ住血吸虫症の感染源として水源が非常に重要であるが、この感染源となる水源自体は住民の日常生活と密接に関連したものであり、水源との接触を避けては日常生活が成立しかねないのが現状である。感染のリスクを避けるための衛生教育や対策を立てる上で、住民の生活に支障をきたさないような配慮も必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
住民の不定期・継続的な流入・流出により、正確な居住民の把握は困難であるが、保健省ならびに村落の保健スタッフの尽力により、なんとか本年度分の調査を完遂することができた。住民台帳の訂正には、ある程度の日にちを必要としたが、修正可能な状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
ビルハルツ住血吸虫症の有病率を追跡して、駆虫薬(プラジカンテル)の一斉投与を継続する。 住民のビルハルツ住血吸虫症に対する認識度は、程度の差こそあれそれなりにあると思われるが、感染源や感染リスクを増加させる行為や場所との接触などについては、まだまだ十分に危険認識されているとは言えない状況である。ビルハルツ住血吸虫症を予防するために重要なことは、感染源となる水源との接触を避けることである。しかしながら、当該地域の住民にとってはそうした水源の存在は日常生活を営んでいくに際して必要不可欠なものである。住民の日常生活に支障をきたすことのないように、何とか本寄生虫感染症に罹患する住民を減少させていく対策を検討する。
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