研究課題/領域番号 |
23406028
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
今井 圓裕 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (00223305)
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研究分担者 |
松尾 清一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70190410)
堀尾 勝 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20273633)
安田 宜成 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60432259)
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キーワード | シスタチンC(Cys-C) / 糸球体濾過量(GFR) / 慢性腎臓病(CKD) |
研究概要 |
慢性腎臓病(CKD)の診断・重症度分類には糸球体濾過量(GFR)が必須である。国際的にMDRD式を用いるがアジア人に適応できるか不明である。申請者らは日本人のGFR推算式を作成し、台湾と韓国、タイにおいてGFR測定のゴールドスタンダードであるイヌリンクリアランス(Cin)に基づくGFR推算式を作成する国際共同研究を行い、韓国人は日本人のGFR推算式が適するが、台湾人はMDRD式が適すること、アジア人間の差は筋肉量に依存することを見出した。 シスタチンC(Cys)は筋肉量等に影響されない腎機能指標であるため、筋肉量によらないアジア人共通のGFR推算式が作成できると期待される。そこで国際標準化されたCysに基づくGFR推算式を作成することを目的に、韓国、中国、シンガポールなどとの国際共同研究を行った。 本年度は①シンガポール大学のTeo Boon Weeとの共同研究をシンガポールで申請した。シンガポールでは同じ生活環境にある中国系、マレー系、インド系の住民においてCinを行うことが可能である。さらにインドPostgraduate Medical InstituteのVivekanand Jha教授と菜食主義と非菜食主義のインド人を比較する共同研究を計画し申請した。また②日本人のGFRプロジェクトの検体を用いて国際標準化されたCysによるGFR推算式を作成した。さらに台湾人91例のイヌリンクリアランス検査時のCysを測定し、日本人のCysに基づくGFR推算式が台湾人に適応できることを見出した。Cys推算式は日本人腎移植ドナー候補者でも正確にGFRが予測できた。本研究は2012年8月末で終了したが、本研究の成果を発展することでアジア人共通のGFR推算式作成につながると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンガポールでのイヌリンクリアランス研究の承認が遅れているが、シスタチンC(Cys-C)に基づく推算式などで大きな成果がある。
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今後の研究の推進方策 |
シンガポールの共同研究者であるTeo先生が血漿DTPAクリアランス研究結果よりインド系人種のGFR推算式がマレー系や中国系と異なる可能性が示唆されている(Teo BW et al. GFR estimating equations in a multiethnic Asian population. Am J Kidney Dis. 2011 Jul;58(1):56-63.)。インド系人種ではベジタリアンが多く、人種に加えて食習慣の影響をより詳細に解析する必要がある。そこで来年度はPostgraduate Medical InstituteのVivekanand Jha教授と研究菜食主義と非菜食主義のインド人を比較する国際共同研究を行う。
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