研究概要 |
目的:東南アジアで急増中のメタボリック症候群(MS)とその構成因子や糖尿病は、慢性腎臓病(CKD)のリスク因子である。バングラデシュGrameen健康財団、国立国際医療研究センター、HDRCRP[参照:web site HP: HDRCRP]、および筑波大学等の福祉・医療・研究機関と協同し、現地人口統計調査、生活/労働/教育環境、身体/血液尿所見やCKD、心血管系障害(CVD)、関連生物マーカーや遺伝子多型などを対象とする疫学/医学/社会学的な横断的調査研究を行う。 方法:1対象:バングラデシュ農村部在住の5,000名(男性、女性同数、年齢15~65歳)対象の横断的調査研究。各年齢層無作為抽出。対象地域は4地域。書面インフォームドコンセントを得た者。2.検査/調査項目(1) 生活と運動調査;教育程度;喫煙;飲酒状況;内服治療歴:降圧薬、糖尿病治療薬;既往歴;家族歴:CVD, 糖尿病など。(2) 身体計測:身長、体重、BMI、腹囲径、血圧、閉経有無など。(3) 基本的血液検査。(4) 生物マーカー測定用の検体収集。 (5) 臓器障害:腎症など。 平成24年度研究結果:15歳以上の調査参加者は1,535名(途中経過)で、メタボリック症候群は、NCEP ATPIII基準では25.6%、改訂NCEP ATPIII基準では36.7%、IDF基準では19.8%であった。NCEP ATPIII基準に基づく腹部周囲径過剰 11.6%, 高血圧 29.1%, 空腹時高血糖 30.4%, 低HDLコレステロール血症 85.5%, 中性脂肪高値 26.9%であった。即ちMS基準のうち、有所見率が最も高い診断項目は低HDL血症、最も低い項目は腹部周囲径であった。腹部周囲径を最重要とするMS診断基準もあるが、バングラデシュ農村部における同様な診断基準の適応には、課題が大きい可能性が示唆された。
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