研究課題/領域番号 |
23406031
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
竹内 二士夫 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70154979)
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研究分担者 |
桑田 昇治 帝京大学, 医学部, 教授 (00241993)
蕪城 俊克 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00280941)
針原 伸二 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40198932)
萩野 昇 帝京大学, 医学部, 講師 (40466769)
野口 博司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60126141)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ベーチェット病 / HLA / 視力予後 / 疾患感受性遺伝子 / 3次元構造 / IL-23R / 東アジア / 民族差 |
研究概要 |
本研究はベーチェット病(BD)におけるHLAの遺伝因子としての意義を検討するとともに、東アジアにおけるその民族差、IL23R等の候補遺伝子との関連を検討する事で、BDの遺伝的背景を明らかにする事を目的とする。日本の正常人200検体についてHLA-A及び-Bのタイピングがほぼ終了した。韓国での分析から、詳細タイピングが必要であると考えられるA*02については、*0201と*0207を区分できる簡便法を開発し分析に用いている。BD検体は、総計約160検体を収集できており、同様にHLA-A,Bについてタイピングを行なったが、とくにA*0207の相関については詳細タイピングで検討中である。弱い相関傾向がみつかっており更にサンプルを増やして検討する必要があると考えている。タイではコントロール99例のHLA-A,Bを分析し、詳細タイピング中である。タイではA*0207が*0201より優位アリルであった。BDは現在サンプリング中であるが、20検体について同様の分析中である。台湾では正常人42例、BD22例のHLAを分析したが、追加サンプル輸送の許可が取れず、検体を台湾国内で分析中。今後はタイピングの技術サポートと情報交換が中心となる。韓国ではBDを200例以上採取し独自で分析中であり、共同研究としては情報交換が主体である。各国との協議では、進行状況確認、データーベースの確定、現地でのタイピング支援等の必要性を検討した。疾患感受性アリルの立体構造についてのチュラロンコン大学理学部との共同研究では、MICA-TM(AAAAAIFVI)等のペプチドを用いてパイロットデーターを得、さらに結合能や、アリル間の構造の差についても検討中である。一方、IL23R-IL12RBのSNPについて日本の分析がほぼ終了しBDとの有意な相関があった。タイについても民族差を含めて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常及び患者検体のHLA-A及び--Bアリルの一次タイピングが概ね終了した。A*26, B*39, B51に関しては従来の方針どうり順調に詳細タイピングを行なった。韓国においてA*0207の相関が認められたため当初の方針に加えてA*02に関しても詳細タイピングをする事としたが、現在A*02:07等は詳細分析中である。また、A*0201と*0207を区分する簡便法を開発し、本年度から検査手法に加えて有用性が確認された。正常人検体、ベーチェット病検体ともほぼ順調に収集されている。帝京大学の研究倫理委員会承認は分担研究者を中心に作業中である。臨床データーベースは基本型を統一化し各国で管理している。特に眼科的所見については協議の結果改良が行なわれた。海外との共同研究は基本承認が得られている。タイでは正常人、患者各々100, 20検体の分析がすすんでおり、患者検体の収集が引き続き行なわれている。タイでは*0207の頻度が高いという中間結果も出ている。韓国は、自国で分析を行なっており、データー等の比較検討協議を行っている。台湾では正常、患者各40,20検体の分析を行なっているが、追加検体の輸送許可が難しく独自で分析を開始。情報提供などで協力を行なっている。ベトナムにも輸送の問題があり協議中。チュラロンコン大とのHLA三次元構造解析ではまずMICA-TMペプチド等への結合能のパイロット分析を行い、更に他のペプチドに対する結合能やアリル構造について研究中。IL23R/12RBのrs1495966(A/G)のSNP分析は日本の正常人、患者についてほぼ終了した。現在はタイの正常人と患者について検討している。以上より、概ね順調に進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も、正常人検体は総計200例以上、患者検体は総計170例を目標に更に検体収集を進めていく予定である。遅れている」帝京大学の承認も早急に得る予定である。収集した検体についてはHLA-A、-Bの分析を順次行なっていくが、従来の計画にあるA*26、B*51に加えて、新たに重要性の増しているA*02の詳細タイピング重点的に行なっていく予定である。海外の検体に関しても、患者40例を目標に可能な限り検体収集をすすめるとともに、従来どうり集った検体から順次HLA分析を行なっていく予定である。検体数については有病率に大きな差があるため一律ではなく可能な限りとするが、本研究終了後も引き継げるような共同研究体制の構築をめざす。検体送付が困難な国の場合は各国での分析を依頼し、技術支援、情報交換を進める事とする。臨床データーベースでは各国の眼科医との連携を強めてデーターベースの基本型はできているので、眼科的臨床所見を含むデーターベースを作成していく。HLA以外の遺伝要因については、次年度からは疾患との相関のあったIL23R/12RBを中心に民族差も含めて分析を進めていく予定である。3次元構造解析は本研究の中心課題の一つであり、次年度では中心課題として病因候補蛋白との結合能の比較、HLAアリルの構造比較を中心に、臨床情報も適宜提供し情報交換しながら、基礎と臨床との共同研究の形で研究を更に進めていく方針である。また、推定された候補蛋白を、病因蛋白として同定するための手法について検討してきたが、そのためには基礎と臨床の共同作業が必要となるため、そのためのシステム作りを行なっていく予定である。また本研究後も研究を引き継ぐために、ELISPOT法などの基礎検討も行ないたい。
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