研究課題/領域番号 |
23406033
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中屋 隆明 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (80271633)
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研究分担者 |
中村 昇太 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (90432434)
大道寺 智 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (80432433)
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キーワード | タイ国 / ウイルス感染症 / メタゲノム / ハイスループットシークエンサー / インフルエンザウイルス |
研究概要 |
本研究は、従来に比べて圧倒的な性能をもつ最先端遺伝子解読システムを、ウイルス感染症研究に導入することにより、新規病原ウイルス(ゲノム)の検出を目指すとともに、感染症の病態およびそのダイナミズムをこれまでとは異なる次元で捉えようとするものである。 タイ国保健省医科学局と共同研究体制を構築し、人獣共通感染症を含む様々な新興・再興ウイルスの発生が報告されている"東南アジア"を研究対象地域とする。同国における原因不明な各種重症感染症患者の臨床検体について、病原ウイルスを網羅的に探索するメタゲノミック診断を行い、新規病原ウイルスの発見を目指す。 今年度は原因不明肺炎のメタゲノム解析を行った。病原体検査として、A,B型インフルエンザウイルス、1,2,3型パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルスのPCR検査が全て陰性になった咽頭ズワブ36検体を解析した。その結果、36検体中15検体において、ウイルスゲノム断片を検出することができた。これらの中には上記検査項目中のRSウイルスも含まれている。したがって、特異的な配列をターゲットとするPCR検査における限界(プライマー部位の遺伝子相同性の低下、あるいは対象ウイルスのゲノム多様性)を示しており、デザインされたプライマー配列が適切でなかった場合、従来法による検査では標的病原体を見逃す可能性が示唆された。現在、検出されたウイルス遺伝子の詳細な解析を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者が平成23年12月に大阪大学より京都府立医科大学へ異動したため、平成23年度後半期の研究進捗がやや遅れている。しかしながら、現在、研究代表者の研究体制が確立したため、今後計画通りの研究の進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
肺炎以外の原因不明検体についても解析を進める。また、昨年導入した新規ハイスループット・シークエンサーを用いることにより、さらなるハイスループット性を高めた解析が可能になることが期待でき、従来の結果との比較検討も試みる予定である。
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