研究課題/領域番号 |
23406036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
牛島 廣治 日本大学, 医学部, 客員教授 (10091068)
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キーワード | ウイルス / 海外協力 / アジア / 分子疫学 / 診断 |
研究概要 |
1.ホーチミン小児病院での呼吸器ウイルス感染において2010-2011年の1年間に1082の咽頭ぬぐい液からmultiplexPCRによって13種のウイルスを検査した。さらにRSウイルス、インフルエンザウイルスでは型別も行った。64%の検体で検出ができ、ライノウイルス30%、RSウイルス24%、パラインフルエンザ3と1が5および3%、インフルエンザA3%、ボカウイルス3%であった。その他のウイルスも頻度は少ないが検出された。季節性も検討した。RSウイルスはサブグループAが多かった。2.風疹ウイルスの抗原診断キットの開発を行った。即ち培養した風疹ウイルスに対して抗体を作製した。この抗体を用いて風疹ウイルスのイムノクロマトを作製した。ベトナムの風疹の検体(咽頭ぬぐい液)で検出を試みたができなかった。再度、新しく免疫し高感度のキットを検討する。3.2011年、ベトナム全土で風疹が流行した。風疹ワクチンを定期接種していないことによる。遺伝子診断と遺伝子型では2Bに属するがエンベロープ領域で数個のアミノ酸が置換したベトナム固有の配列とわかった。4.ベトナム全体での麻疹・風疹の患者数は正確には把握できないがこの3年間患者数が多い。しかし2009年は麻疹の割合が大きく、2010年はほぼ等しく、2011年は風疹の割合が大きい。ホーチミンの第1と第2小児病院での入院患者を合わせると2010、2011年にはそれぞれ約200名の先天性風疹症候群が見られた。5.頻度は少ないがサフォードウイルス、コサウイルス、ボカウイルスをタイの下痢便から検出した、タイでのウイルス性下痢症(ロタウイルス、ノロウイルスなど)の分子疫学、タイと日本のブタからのブタコブウイルスの発見、バングラデシュでの自然界での新しい組換えアデノウイルスの発見等がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
感度の良い風疹ウイルス抗原検出キットの開発は今後行う必要があるが、呼吸器ウイルス、下痢症ウイルスの検出については計画通りの成果をベトナムあるいはタイにおいて得ることができた。ベトナムの風疹・麻疹の流行疫学については現地の協力を得て進めることが出来た。またタイにおいてはヒトのみならず動物の下痢症ウイルスについても成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
既に我々が確立したウイルス性脳炎・脳症の遺伝子診断をアジアの国において次年度行う。また風疹の抗原検出キットの更なる改良を試みる。ベトナム以外の国において風疹の分子疫学を試みる。ベトナムでの平成23年度の呼吸器ウイルスの解析をさらに深める。例えばインフルエンザのH3N2のH3領域での系統樹作成、ボカウイルスなどの頻度の低いウイルスの詳細な検討である。下痢症ウイルスの迅速診断キット(ロタウイルス・ノロウイルス・アデノウイルスを同時に検出しうるイムノクロマトキット、アストロウイルスキット、サポウイルスキット)をアジアの検体で使用し、遺伝子診断と感度・精度を比較する。
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