研究課題/領域番号 |
23406036
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
牛島 廣治 日本大学, 医学部, 客員教授 (10091068)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ウイルス / 海外協力 / アジア / 分子疫学 / 診断 |
研究概要 |
1.昨年度に引き続き2010~2011年のホーチミン1082例の呼吸器感染小児の原因ウイルスを詳細に知べた。ボカウイルスが3%に年間を通じて見られた。年齢は2歳以下が73%であった。重感染が50%であった。重症感染を示すことがあった。インフルエンザウイルスも3%でH3N2は雨季に、パンデミックH1N1は乾期に多く見られた。パンデミックインフルエンザは初期の株から進化していた。H3N2はA/Perth/10/2010-likeであった。RSウイルスはA2型が多くB型のBA9とBA10もあった。ライノウイルスはA型が主であった。2.新たに市販と我々の風疹抗体を用い抗原検出ICキットを作製したがやはり咽頭拭い液から抗原を見出せなかった。3.2010~ 2011年、チェンマイでウイルス性下痢症の分子疫学を行った。411便検体中50%が陽性、ノロウイルスGIIが16%、A群ロタウイルスが15%、ヒトボカウイルスが6%、アデノウイルスが5%、エンテロウイルスが4%、ヒトパレコウイルスが1%であった。アストロウイルス、サフォルドウイルス、サポウイルス、アイチウイルス、コサウイルスは1%以下であった。ロタウイルスはG1P[8]が45%、G9P[8]が36%であった。ノロウイルスはGII/4の2010変異型が多くを占めた。4.タイの198例の小児下痢症患者においてロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス同時抗原検出キットの評価を行った。PCRと精度は同等だが感度がノロウイルス、アデノウイルスで低かった。5.チェンマイの下痢症の仔ブタのA群ロタウイルスについて、全11ゲノムの解析を行う。以前の報告と比べるとゲノタイプ間、ゲノタイプ内での遺伝子再集合が観察された。まれなブタ由来NSP3 T7ゲノタイプがあった。6.カンピロバクターによる下痢症の頻度は高く、ウイルスとの重感染もあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(理由) ベトナムでの呼吸器、タイでの下痢症ウイルスについて分子疫学的に詳細に調べることが出来た。人獣感染症ウイルスの面からの研究、細菌性下痢症についても検討出来た。 風疹抗原の検出キットの作製は、排泄されるウイルス量が少ないためか困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
ベトナム、タイに加えてインドネシアでの感染症の分子疫学を継続的に進める。我々がわが国で開発した下痢症ウイルス診断キット、その他の診断キットを途上国で使用してもらう。細菌感染症とウイルス感染症の重感染症についても検討する。
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