研究課題
1. 2010-2011 H1N1(パンデミック後)のホーチミン市小児のインフルエンザ流行を調べ全検体の3%が陽性でH1N1pdm09とH3N2を交互に見た。このH1N1は従来のH1N1pdm09から変異した。多くはオセタミビル感受性であった。H3N2はsubclade Perth10/2010に類似した。ライノウイルス(HRV)は2歳以下に多く、スワブの30%が陽性でHRV-Aが多かった。ヒトボカウイルス1が7%で、多くは他のウイルスとの混合感染で、重症例もあった。RSウイルス、パラインフルエンザウイルスも解析できた。依然として先天性風疹症候群が見られ、遺伝子型は2Bであった。2.インドネシア マナドで小児の急性胃腸炎の原因ウイルスを調べた。約50%にウイルス陽性、多くはロタウイルスでGIP[8]>G3P[8]であった。パレコウイルス、ノロウイルス、エンテロウイルスがそれぞれ3~2%で、型を決定した。ノロウイルスGII.14があった。3.タイの成人胃腸炎を調べた。下痢症ウイルスが5%で見られ、アデノウイルス、エンテロウイルス、アイチウイルス(AまたはB)、ノロウイルスが1%であった。迅速キットでノロウイルス、ロタウイルスが検出できた。タイ国チェンマイでのカンピロバクター胃腸炎の小児の頻度は日本と同様で8%に見られた。C.jejuniとC.coliを見た。タイの仔ブタ胃腸炎からA群ロタウイルス(G3P[23]2株、G9P[23]1株)が発見され、遺伝子再集合が観察された。またブタのgenus Aichivirus Cを見出した。プロトタイプと異なって、2B領域に90nt(30aa)の欠失のvariantであった。4.バングラデシュでノロウイルス診断キットを利用した。5.ウイルス性脳炎・脳症に対するmultiplex PCRを開発し、日本の検体で診断した。
1: 当初の計画以上に進展している
研究実績の概要および業績(論文および発表)のように研究が進んでいる。今後、検体の採取、人力と経費が必要で続けていく必要がある。
アジアにおける分子疫学を続けて行う。ウイルス性脳炎・脳症についてフィールドを再確認し行う。ホーチミンでは下気道感染(肺炎など)を中心に検討する。マイコプラズマ、細菌感染についても診断をmultiplex PCR法で行う。昨年度に続きアジアにおける風疹の疫学の状況をベトナム、ラオスで行い、検体が得られれば分子疫学的検索を行う。引き続きタイ、インドネシアの小児の下痢便の中から継続的に12種の下痢症ウイルスの遺伝子解析を行うとともにバングラデシュの検体でも行い、さらに分子系統樹により途上国とわが国あるいは他の先進国間でのウイルスの比較をする。開発した脳炎・脳症ウイルスのmultiplex PCRをアジアの検体で行う。人獣感染症や食品を媒介する感染症についてもアジアの検体で検討する。
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