研究課題/領域番号 |
23406038
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
程 〓 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460)
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
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キーワード | 口腔がん / 噛みタバコ / ミャンマー / 悪性境界病変 / 分子病理疫学 / タイ / パキスタン / 台湾 |
研究概要 |
本年度に実施した研究内容は以下のとおりである。(1)症例収集と調査解析:口腔癌および粘膜下線維症を含む前癌病変症例について種々の角度から検討を加え、報文として出版した。本調査の概要と理念についてミャンマー側共同研究者を招聘し日本癌学会の国際セッションで口演した。(2)噛みタバコの実態調査:台湾を例にして、噛みタバコの生産から流通までを調査し、ベーテル噛み習慣が社会構造とどのように関わっているかを検討し、その商システムが産業として完備しており、口腔癌発症背景が社会問題として認識された。(3)ミャンマーにおけるコホート調査:ベーテル噛み習慣の高頻度な地域として同国保健省から推薦を受けた地域:タングーを訪問し、自治体と地域の保健官と基幹病院と打ち合わせの上、二度にわたって予備調査を実施した。その後、同市住民のうち調査目的に同意がえられた噛みタバコ常習者約300人と非常習者約300人ずつからなる調査対象600人を固定して全体調査を四回に分けて実施した。聞き取り調査と口腔検診の後、粘膜所見の写真撮影とともに必要症例には細胞診検査をおこなった。さらに、住民の栄養状態を解析する目的で血液サンプルを収集した。検診時には噛みタバコによる口腔がんの危険性を繰り返し説明し、口腔保健指導の介入をおこなった。上記調査には研究分担者朔が現地に出張したが、直接の検診には、ミャンマー側の共同研究者のウー所長らに依頼して同研究所所員および地域基幹病院の医師等の動員を調整して4班からなる調査団を組織し、上記調査を実現した。(4)アジアにおける口腔癌調査:パキスタン・カラチ市のアガ・ハーン大学医学部ならびにタイ・バンコック市チュラロンコン大学歯学部を訪問し、同地における口腔癌の発生状況を調査し、今後の後ろ向き調査を主体とした共同調査行程を相互に確認して一部作業を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に当初の「研究の目的」に沿って、本年度の研究実施計画の行程を実施した。ただし、具体的な調査内容については、現地の共同研究者ならびに研究協力者らの諸状況にしたがって柔軟な調整を行ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査では、現地共同研究者の協力が成否を決定するので、その意見を尊重する必要があるのはいうまでもないが、国内の研究代表者ならびに共同研究者が常に現地調査に参加できるわけではなく、現地共同研究者の自主的な調査に依存せざるを得ない場合が多い。しかし、その調査費用の支払いが事務的に容易でない状況があり、調査の円滑な進行の妨げとなっている。この問題を事務方と協議の上、この問題を解決する方法をさぐりたい。 当初計画の調査地域のうち、ナイジェリアからの協力については明解な回答を得ていないので、現在までに密な連絡と信頼関係を樹立しえた、ミャンマー、パキスタン、タイ、台湾の調査を持続させることに精力を集中していく計画である。
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