研究課題/領域番号 |
23406038
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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研究分担者 |
程 クン 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460)
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
阿部 達也 新潟大学, 医歯学総合病院, レジデント (70634856)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 噛みタバコ / ミャンマー / パキスタン / 悪性境界病変 / 分子病理疫学 |
研究概要 |
本年度に実施した研究内容は以下のとおりである。 (1) 症例収集と調査解析:口腔癌および粘膜下線維症を含む前癌病変症例について、ミャンマーのタングーで開始したコホートについては、一年後の経過調査を実施し、口腔内で環境の変化と細胞診の結果とを照合しながら解析中である。調査では細胞診に加えて血糖値測定も開始した。 その結果、噛みタバコ常習者のなかに、2人の口腔癌進行例を見出している。それらの症例の細胞診標本を後ろ向きに解析したところ、悪性徴候とみなすべき角化細胞集団の形成所見が得られた。ミャンマー側研究者ミン博士が別件で来日した際に、口腔癌の細胞診スクリーニングについて討議を重ね、口腔癌独自の基準が必要であることの共通認識を得た。 (2) パキスタンにおける口腔癌調査:パキスタン・カラチ市のアガ・ハーン大学医学部のペルベス教授らの協力により、同付属病院における約300例の予後の判明している口腔癌症例の抽出が完了した。これらの症例について噛みタバコ習慣の調査を重ねたうえで、外科摘出材料標本について細胞外基質発現と臨床的態度の関連について検討を始めた。外科材料のパラフィンブロックを新潟に輸送して実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に当初の「研究の目的」に沿っている。調査地域の政治的状況の影響や現地で入手できる試薬精度や診断技術の問題もあり、必ずしも良好なサンプリングがおこなえていないところがあるが、現地諸状況にしたがって柔軟な調整を行ってきた。調査地域については、後述のとおり、断念したところがあるが、上記の二国に焦点をしぼることによって作業の集中度が高くなっている。収集した材料について、本学での解析は問題なく進行しており、成果も報文として公表している。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査では、現地共同研究者の協力が成否を決定するので、その意見を尊重する必要があるのはいうまでもないが、国内の研究代表者ならびに共同研究者が常に現地調査に参加できるわけではなく、現地共同研究者の自主的な調査に依存せざるを得ない場合が多い。しかし、その調査費用の支払いが事務的に容易でない状況があり、調査の円滑な進行の妨げとなっている。この問題を事務方と協議してきて、一定の方式で解決できるようになったので、今後も同様に進めていきたい。当初計画の調査地域のうち、ナイジェリア・タイからの協力については明解な回答を得られず、実施を断念した。現在までに密な連絡と信頼関係を樹立しえた、ミャンマーとパキスタンの調査を持続させることに精力を集中していく計画である。
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