研究実績の概要 |
タンザニアのダルエスサラム中心部および郊外ならびに、モシ中心部および郊外の小学校就学中の子ども達(10歳-14歳)に対し、スワヒリ語による自記式無記名質問紙を用いて、QOLと人口社会学的背景および食事回数との関連を調査した。QOLについては、WHOQOL-BREFを基に、タンザニア側共同研究者らと質問内容を検討し、7つの質問により、それぞれ5件法(1から5)で評価した。7つの質問に対する回答を加算し、QOL scoreとした(最高35点)。解析にあたり、QOL scoreの平均値(25.47点)未満を低QOL群、平均値以上を高QOL群と分類した。 調査に参加した712人中、有効回答が得られた694人(男子:312人、女子:382人)を分析対象とした。低QOL群は333人(48.0%)、高QOL群は361人(52.0%)であった。カイ二乗検定により、男子よりも女子に(p=0.027)、日常生活における養育者が「母親」である子どもよりも「母親以外」である子どもに(p=0.019)、おやつも含め1日3回以上の食事機会がある子どもよりも2回以下の子どもに(p<0.001)、低QOLの割合が高いことが示された。しかし、年齢(12歳以下、13歳以上)、現在父親と同居、宗教、現在の就労状況と、QOLの関連は認められなかった。ロジスティック回分析により、独立変数として性別、年齢、日常生活における養育者が「母親」、現在父親と同居、宗教、現在の就労状況、1日の食事回数を投入し、QOLとの関連を分析したところ、女子であることと低QOL(AOR: 0.721; 95% CI: 0.525, 0.990; p=0.043)、1日3回以上の食事機会があることと高QOL(AOL: 2.217; 95% CI: 1.588, 3.095; p<0.001)が統計的有意に関連していた。
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