研究概要 |
本研究では応用上よく現れるグラフのクラスである木,直並列グラフ,部分k木に対して,配電融通,システム解析・設計, 論理回路設計, VLSIの配線問題を含む様々の問題に応用されるグラフ分割問題を解くアルゴリズムの設計論を構築することが研究目的であった. 本研究の成果として,グラフ特に木や直並列グラフや木幅が小さいグラフに関する理論的な展開とアルゴリズムの効率化があげられる.電力網などを需要点と供給点のあるグラフでモデル化し,供給されている需要点の需要量の合計が最大になるような電力の流し方を求める最大化問題を扱っていた.本研究では,この最大化問題は木に対してすらNP困難であることを示した.さらに,木,直並列グラフ,部分k木に対し,グラフの分割と巧みな動的計画法を導入して,この問題を擬多項式時間で解くアルゴリズムを与えた.研究開発したアルゴリズムの多くは現在でも世界一高速であり,世界に誇る優れた成果として高く評価され,FAW-AAIM 2012の最優秀論文賞が受賞されていた. また,グラフの彩色,辺集合分割問題など重要な組合せ問題のほとんどに対し,極めて効率のよいアルゴリズムを与え,これらグラフアルゴリズムに関する最終年度の成果は9編の論文とし,一流国際学術誌や国際会議で発表されていた.これらのアルゴリズムの開発で導入された手法はグラフの彩色,分割問題に限らず多くの組合せ問題に応用可能であった.
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