研究課題/領域番号 |
23500007
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
荒木 徹 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40361042)
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キーワード | グラフアルゴリズム / ネットワーク / 耐故障性 / 全域木 / 支配集合問題 |
研究概要 |
ネットワークにおける配置問題の研究として,グラフの支配集合問題と,グラフにおける完全独立全域木の構成についての研究を行った.24年度における成果について説明する. グラフの支配集合問題については,特に有向グラフの双方向支配集合問題について研究を行った.この問題は,グラフをサイクルを持たない単純なグラフに限定してもNP完全になることを示す事ができた.そこで,グラフを区間グラフにサイクルが生じないように向け付けを与えたものに限定した場合,動的計画法によって多項式時間で最小の双方向支配集合を求めるアルゴリズムを設計することができた.また,グラフを局所完全ダイグラフと呼ばれるダイグラフに限定した場合も,多項式時間で最小解を求めることができた.これら二つの成果について発表を行った.さらに,木に向き付けを与えた有向グラフにおいては,動的計画法とは異なる手法で最小解を求めることができることが分かった.また,ラウンドダイグラフと呼ばれるダイグラフにおいても最小解を求めるアルゴリズムを設計することができた.これら二つの結果は現在投稿中である. グラフの完全独立全域木とは,グラフ中に複数の全域木を,それらの全域木が頂点間の内素なパスを生成するというように構成する問題である.この問題について,グラフが2個の完全独立全域木を持つための十分条件を証明する事ができた.この結果は現在Journal of Graph Theoryへ投稿中である.他にも区間グラフやハイパーキューブでの完全独立全域木の構成について一定の成果を得ており,次年度中に投稿する事が可能である.この問題は,効率の良いアルゴリズムを設計する事が難しいため,これらの成果には価値ある結果だと思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフの支配集合問題と完全独立全域木の構成について研究を進めることを,目標としている. 支配集合問題では,対象とするグラフを木,区間グラフ,局所完全ダイグラフといった,ある特別なクラスに限定して効率の良いアルゴリズムを設計する事を目的としている.今年度までに,これらのグラフについては一定の成果を得ており,その一部を発表することができた.残りも論文としてまとめ,現在投稿中で査読の結果を待っている状態である.これについては,おおむね順調に研究を進めることができている.また,今年度からブロードキャスト支配という問題について考察を始めている.これについてはまだ目立った成果が出ていない.次年度中には,最初の成果を発表したいと考えている. 完全独立全域木についても,一つの成果を論文としてまとめて投稿した状態にある.まだ未発表であるが,知られていない成果として区間グラフにおける完全独立全域木の構成について成果を得ている.次年度にまとめて一つの成果として発表することを考えている. 以上のことから,おおむね目標とする課題はクリアしていると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
基本的には今年度までに行ってきた研究を継続する. 支配集合問題と完全独立全域木問題では,どちらも区間グラフを対象とした成果を得ている.これをより拡張したcircular-arcグラフを対象としたアルゴリズムの設計を考えたい.同様に,これまでに得られた成果を拡張する形で問題を考えていく予定である.ブロードキャスト支配という問題の考察を今年度から開始したが,次年度では,まず木における多重ブロードキャスト支配という問題を定義し,そのためのアルゴリズムを設計することを目標としている.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度の研究費を計画的に使用した結果、139円の残額が生じたが、25年度の研究費と合わせて執行する予定である。
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