研究期間を通して、ネットワークにおける配置問題を、グラフ理論上の問題へとモデル化し、その数学的性質や効率的なアルゴリズムを設計することを目的として研究を行った。 ネットワークの配置問題の中から、特にグラフの支配集合問題と、グラフにおける完全独立全域木の構成についての研究を行い、いくつかの成果を得た。 25年度の成果は、支配集合問題について1編、完全独立全域木について1編の論文が、国際誌に掲載決定となった。まず有向グラフにおける双方向支配問題について、対象とするグラフをラウンドダイグラフと呼ばれるグラフクラスに限定し、その上で効率のよい多項式時間アルゴリズムを設計することができた。グラフの持つ構造がよく研究されているグラフとして、局所トーナメントと呼ばれている特別なクラスがあり、多くの研究者の注目を集めている。ラウンドダイグラフはその局所トーナメントに含まれるグラフである。また、完全独立全域木については、与えられたグラフが2つの完全独立全域木を持つための十分条件を示すことができた。この条件は決して実用的に意味があるものとはなっていないが、数学的に良く記述されており、同分野の研究者の興味を集め、今後の発展が期待される。 残念ながら現在までに査読が終わっていないが、木構造のグラフの辺に向きを与えた有向グラフにおいえて、最適な支配集合を求める線形時間アルゴリズムを設計した結果をまとめて、国際誌に投稿中である。
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