研究課題
平成25年度は、本研究課題の主テーマである「情報理論的結合可能安全性の理論的解析」に関して以下の成果が得られた。鍵共有方式において、従来の情報理論的安全性と情報理論的結合可能安全性には、用いる安全性指標によって小さな差はあるものの、本質的には同値であることを示した。これら鍵共有方式に対する情報理論的結合可能安全性に関する成果は国際会議IEEE ISIT2013において発表している。一方、メッセージ認証方式(認証符号)に対しては、従来の情報理論的安全性と情報理論的結合可能安全性は全く同値であることを示した。この成果は国内会議SCIS2014における発表内容に含まれている。更に上記以外にも、従来の情報理論的暗号理論を拡張するため、Renyiエントロピーを利用した体系的枠組みを提案し、この成果を国内外の会議やアーカイブにて公表している。この体系的枠組みの中で結合可能安全性の概念をどのように一般的に扱えるかについては、今後の研究活動の中で明らかにしてゆきたい。研究期間全体を通して、暗号基礎技術、特に、暗号化方式、鍵共有方式、メッセージ認証方式に対して、従来の情報理論的安全性と情報理論的結合可能安全性の関係を理論的に示すことができた。上記の3つの基礎技術に関して、両者の安全性は本質的には同値であるものの、鍵共有と暗号化においては若干の差があるため、実際のシステム構築の際には、この差を十分に考慮してシステムパラメータを設計する必要がある。以上の研究成果は、暗号理論分野における学術的重要性だけに留まらず、多様で複雑な情報システムであふれる情報社会において、その構成要素となる暗号基礎技術を自由に組み合わせても情報理論的安全性を実現できることを明確に示しており、実用的観点からもその意義は大きいと考える。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Proc. of The 31th Symposium on Cryptography and Information Security (SCIS 2014)
巻: なし ページ: 1E2-2
巻: なし ページ: 1E2-3
Proc. of 2013 IEEE International Symposium on Information Theory (ISIT2013)
巻: なし ページ: 2720-2724
10.1109/ISIT.2013.6620721
Proc. of The 7th International Conference on Information Theoretic Security (ICITS2013), Springer
巻: LNCS 8317 ページ: 103-121
10.1007/978-3-319-04268-8_7
Proc. of CD-ARES 2013 Workshops, Springer
巻: LNCS 8128 ページ: 16-28
10.1007/978-3-642-40588-4_2