研究課題
従来のグラフ理論では、頂点とその間の関係だけを使って問題を抽象化してきた。その結果、過度な抽象化が進み「一般の場合は手におえない」という否定的な結果が数多く出されてきた。しかし現実の問題を考えたとき、問題固有の性質を使えば、現実的な時間で動作するアルゴリズムを構築できることがある。本研究では、そうした具体化の一つとして「幾何的な構造をもつグラフの上で定義される問題」を研究対象とした。つまり研究を幾何的な対象に絞り、単なる「つながり」だけではなく、長さなどの定量的な関係も取り入れた。典型的な例としては「折紙」があげられる。折紙の展開図で、各面の隣接関係をグラフで表現すると、面積や長さといった定量的な属性を考えなくては、対象を正しくモデル化することはできない。こうした幾何的な特徴を生かすことで、従来は手におえないとされてきた問題を現実的な時間で解くアルゴリズムの研究と開発を本研究の目的とした。その結果,幾何的なグラフを対象としたアルゴリズムの設計と開発,さらに多面体の展開図における研究成果などを得た.具体的な数値で示すと,3年間の本研究期間中,査読つき国際会議での発表を25回(うち招待講演2回)行い,ジャーナル論文21編,訳本2冊,書籍1冊を上梓できた.特に展開図の研究に関しては,ごく限られた結果しか知られていなかった「複数の凸多面体を折れる展開図」に対して多くの新しい結果を得た.特に「3通りの異なる箱が折れる一つの展開図」の発見は,雑誌や書籍などで取り上げられ,高い評価を得た.以上の研究実績は,当初の研究計画を十分実現できたと考えている.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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