研究課題/領域番号 |
23500015
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
永持 仁 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70202231)
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研究分担者 |
趙 亮 京都大学, 情報学研究科, 講師 (90344902)
福永 拓郎 国立情報学研究所, ビックデータ数理国際研究センター, 准教授 (60452314)
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キーワード | グラフ理論 / 離散最適化 / アルゴリズム / 列挙法 / 厳密解法 / 計算量解析 / 近似解法 |
研究概要 |
シドニー大学 Hong 教授と共に,グラフの直線描画における凹角数を線形のコスト関数のもとで最小化する線形時間アルゴリズムを得た. 平面上で複数の矩形図形を矩形上容器に充填する問題に対する厳密アルゴリズムの性能を高める理論を提案した論文が出版された.論文中で実装したプログラムは現在世界最速の性能を発揮している.プリント基盤の支持ピン位置のスケジューリング問題に関して,引き続き京都工芸繊維大の軽野准教授とともに,グラフモデルでの最適化問題として,種々の定数倍近似アルゴリズムを構築し,提案法については実験的な検証も行い,その実用的有効性を確かめた.NP-困難な問題に対しては,近年,指数時間の計算量であっても,より高速な厳密アルゴリズムを設計する研究が実用面と基礎理論の両面から精力的に進められている.本研究においても,トラベリングセールスマン問題,独立点集合問題,支配枝集合問題に対して,中国の電子科技大学の肖 鳴宇 助教授とともに,次数制限グラフにおける最速のアルゴリズムを提案した.従来は,これらの問題に対する厳密アルゴリズムの計算量を縮めるためには分枝規則を単に複雑化させる方法が多かったが,本研究ではグラフ構造に関する新しい概念・性質を利用することで分枝規則を簡素化しつつ高性能なアルゴリズムを設計することができた.とくに独立点集合問題に対しては,1,2点連結構造に基づく分割統治法を初めて導入した.この他施設配置ゲームに対する戦略耐性メカニズムの特徴付けに関する研究成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グラフ描画問題,スケジューリング問題,厳密アルゴリズムの高速化など,グラフにおける最適化問題に関する種々の問題に対して,十分多くの研究成果が得られたと考えている.厳密アルゴリズムの高速化においては,本研究で導入した1,2点連結構造に基づく分割統治法は一般性のある手法であり,他の問題への適用が可能である.
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今後の研究の推進方策 |
中国の電子科技大学の肖 鳴宇 助教授とともに研究を推進している高速厳密アルゴリズムの設計では,1,2点連結構造に基づく分割統治法を発見した.現在,指数領域を利用する別の一般的な高速化手法についてのアイデアが出来上がっており,数学的な詳細を詰めている段階である.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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