研究課題/領域番号 |
23500023
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
浅野 孝夫 中央大学, 理工学部, 教授 (90124544)
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研究分担者 |
浅野 泰仁 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (20361157)
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キーワード | 近似保証アルゴリズム / ネットワーク / ルーティング / スケジューリング / ラウンディング / ユニークゲーム予想 / 情報検索 / 組合せオークション |
研究概要 |
ネットワーク上でのルーティングとスケジューリングに関連して生じる様々なNP-困難問題に対して、緩和最適解に対するラウンディング手法に基づく近似保証アルゴリズムの提案と、ユニークゲーム予想に基づいて近似保証の限界を究明することが、本研究の目的であるので、以下の研究計画に基づいて研究分担者と討論しながら研究を実行した。 1.近似保証アルゴリズム設計の系統的設計法である数理計画法に基づいた定式化から得られる最適小数解を、品質を保ちながら整数解に近似するラウンディング手法に注目して研究調査した。とくに、確率的方法、主双対法、双対フィット法、最大フロー法、一般メトリック空間埋め込み法などのラウンディング手法により、近似保証が大幅に改善されてきているので、手法の有効性を分類・整理・検討した。さらに、ユニークゲーム予想の適用法を研究調査し、その有効性を分類・整理・検討した。 2.情報ネットワークシステムやウェブ上の情報検索に対する基礎技術・応用技術をルーティングとスケジューリングの観点から高品質な近似保証アルゴリズムの適用可能性と限界を詳細に検討した。 3.近似保証アルゴリズムとWeb情報検索の分野で最先端の研究をしている内外の研究者と情報・アイデア交換をした。とくに、インターネットオークション(組合せオークション)における最適解と高品質なナッシュ均衡解の存在に関して、最新の研究動向の調査と研究成果に対する情報・アイデア交換を精力的に実行した。 4.以上の調査・検討に基づき、情報通信ネットワークやウェブ情報検索の分野で要求度の高い問題に対して、高品質な近似保証アルゴリズムを提案した。さらに、アルゴリズムの有効性を大規模な実物データで計算機実験を通して検証した。得られた成果の一部をすでに学会等で発表しているが、さらに学術書等でも発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」で述べたように、本研究の目的は、ネットワーク上でのルーティングとスケジューリングに関連して生じる様々なNP-困難問題に対して、緩和最適解に対するラウンディング手法に基づく近似保証アルゴリズムの提案と、ユニークゲーム予想に基づいて近似保証の限界を究明することである。その目的を達成するための研究が平成24年度研究計画であった。そこで、インターネットオークション(組合せオークション)における最適解と高品質なナッシュ均衡解の存在に関して研究を遂行するとともに、最新の研究動向の調査と研究成果に対する情報・アイデア交換を精力的に実行した。また、この分野で最先端の研究を行っているCornell大学のJon Kleinberg教授およびDavid Williamson教授と情報交換をした内容の最先端の研究成果の調査報告を研究分担者とともに日本語として出版することも予定している。近似保証アルゴリズムの提案と計算機実験による品質検証も順調に進んでいる。また、ユニークゲームとも関係する組合せオークションについての研究成果も得られている。これらの成果についても、学会等で発表している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの2年間の研究を継続して実行する。同時に、単純で実用上重要性が高いと言われている乱択アルゴリズムの最近の研究動向も研究調査し、密接に関係するラウンディング手法の確率的方法をさらに検討する。そして、これまでの研究調査・検討および国内外の研究者の批評に基づいて、より一層研究を高度化する。とくに、インターネットオークションを含む情報通信ネットワークシステムやウェブ情報検索の分野での高品質な近似保証アルゴリズムとその近似保証の限界の究明の重要性が広く認識できるような研究を、より広範に深く進める。さらに、提案したアルゴリズムや新技法の有効性を、情報通信ネットワークシステムやウェブ情報検索における大規模な実物データで計算機実験を通して実証する。得られた成果を内外の学会・論文誌で発表すると同時に、成果の全容を報告書にまとめホームページに掲載する。そして、情報通信ネットワークやウェブ情報検索の分野における基盤技術として、高品質な近似保証アルゴリズムと近似保証の限界の究明が重要であることの普及に努める。
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次年度の研究費の使用計画 |
大規模な計算機実験とデータ整理のために物品費として7.6万円、研究成果発表・研究調査のための旅費として80万円、人件費・謝金として10万円、その他として15万円という研究費の使用計画でいる。これは、今年度交付予定額の100万円に、さらに繰越金の11.6万円を加えた金額である。研究成果発表とこの分野で最先端の研究を行っている内外の研究者との情報・アイデア交換(専門的知識の提供も含めて)がより一層重要になるので、このような使用計画に基づいて精力的に研究を進めていく。
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