研究課題/領域番号 |
23500024
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
譚 学厚 東海大学, 情報理工学部, 教授 (50256179)
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キーワード | 計算幾何 / アルゴリズム / グラフアルゴリズム / ツーガイド問題 / 単純経路 / 経路探索問題 |
研究概要 |
1.この研究は所与の領域の境界線上にn個のセンサーを移動し均等に配置する問題を取り扱う。センサーの最大移動距離(または移動距離の総和)を最小にすることが研究の目的であり、この問題の解法は電子監視システムなどへの応用がある。センサーの移動範囲を円に限定された場合、O(n (log n)↑3)時間のアルゴリズムを提案し、これまでの O(n↑2.5 log n)時間のアルゴリズムを大きく改善した。この研究の結果は国際会議ISAAC2012で発表した. 2.m頂点の多角形内にn個の(中継)点が与えられるとき、中継点を利用して与えられた始点と終点をつなぐ、自己交差のない単純経路を見つける問題は動的計画法に基づいたO((m n)↑2)時間の解法はあったが、アルゴリズムの時間計算量が高い。我々の研究では、中継点の集合による可視的グラフを計算しておいてこの問題をグラフの経路探索問題に変換させることにより、O(n*n+m log m)時間のアルゴリズムを提案する。この研究結果を纏めた論文”Computing simple paths from given points inside a polygon”は現在投稿中である。 3. 2011年度に報告したツーガイド巡回問題に関する論文”Minimization of the maximum distance between the two guards patrolling a polygonal region”は学術論文誌The. Comput. Sci.に採用され、オンライン版は出版された。また、LR可視的多角形への特徴づけ問題に関する論文”Characterizing and recognizing LR-visibility polygons“もDiscrete Appl. Mathematicsに採用され、オンライン版は出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はいくつかの研究成果を得ることができた。特に多角形内における自己交差のない単純経路を見つける問題はグラフの経路探索問題に変換させることができた。当初の研究計画の通りに実践されたことが非常に大きい。さらに、2本の折れ線(polylines) 間のFrechet距離を計算する問題に対してもこのような手法を適用することができる。現在、この研究の結果を纏めている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
2本の曲線(polygonal curve) 間のFrechet距離を計算することは幾何物体の形状を比較するのによく使われ、画像処理やコンピュータビジョン等への応用がある。本研究で開発されるグラフ論的手法がこの問題を解くには役に立っていることが確認されたため、さらに研究を続けていきたい。多角形内における自己交差のない単純経路を見つける問題についても、いくつかの研究課題が残されており、研究していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
助成金の利用は今年度順調に推移しているが、初年度(平成23年度)には海外出張や備品などへの支出を少なめに抑えたため、助成金の繰り越しが生じた。次年度の研究費と合わせた使用計画(主な支出)は下の通りである。 1.研究結果の発表および研究調査を行うため、海外・国内出張を数回予定している。 2.研究図書やプリンタカートリッジなどの消耗品の購入 3.会議参加費、人件費、そのほか
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