既発表の、有向パス幅に対するXPアルゴリズムの修正版に対して、さらに詳細な検討を行った。このXPアルゴリズムは、これも既発表の有向パス幅に対するO(1.89↑n)時間アルゴリズムのなかで使われていたため、修正に伴い後者のアルゴリズムも修正する必要があった。このふたつの修正されたアルゴリズムをひとつの論文に結合することにし、その草稿を書きあげた。共著者のなかで細部の点検中であり、近々しかるべき論文誌に投稿する予定である。 25年度の研究のなかで、もうひとつの中心となったのは、表面上に埋め込まれたグラフの分枝幅と表面分離幅の関係に関するBonsmaの予想の証明である。表面分離幅は、分枝分割のうちで、「その誘導するどのカットにおいても、カットの両側が表面上で連結である」という条件を満たす特別なもののなかで、最も小さい幅として定義される。Bonsmaは、種数gの表面上に埋め込まれたどのようなグラフにおいても、その表面分離幅は分枝幅を高々O(g)しか上まわらないと予想した。申請者は、この予想が正しいことを25年度のほぼすべてをかけて証明した。現在、Bonsmaともうひとりの共同研究者にその証明を送って、確認を依頼しているところである。 その他には、グラフのパス幅に対する実験的な研究を行い、上記の理論的なアルゴリズムで用いられたコミットメントの技法の実用上の効果と限界を明らかにした。
|