研究課題/領域番号 |
23500027
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
伊藤 正美 京都産業大学, 名誉教授 (50065843)
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研究分担者 |
外山 政文 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (60180189)
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キーワード | 重複閉包演算 / 言語階層 / 文脈自由言語 / 部分オートマトン / 量子探索アルゴリズム / 位相整合法 |
研究概要 |
研究代表者の平成24年度の研究実施計画の「語および言語上の演算の研究」に関しては、重複閉包演算による言語階層の保存性の条件が詳しく検討された。また前年度の研究実施計画にあった、回文からなる文脈自由言語の構造の研究が継続された。その成果は研究代表者と P. Domosi の共著書「Context-Free Languages and Primitive Words」(World Scientific)の一節に盛り込まれると同時に、研究集会「代数系および計算機科学基礎」において発表された。平成25年度の研究実施計画の「オートマトンの代数的研究」が平成24年度に先行して行われた。この研究での成果として、与えられたオートマトンのすべての部分オートマトンの集合がなす上半束の構造が明らかにされた。この結果は Theoretical Computer Science で公刊された。もうひとつの成果として、自己準同型単位半群が下半束になるようなオートマトンの構造が決定された。この結果は、研究集会「代数とコンピュータサイエンス」で発表された。研究分担者による「量子探索アルゴリズムの研究」に関しては、従来の単一位相整合の一つである Li & Li 位相整合に基づき、任意の与えられた標的割合に対して必ず成功確率が1になる位相因子を決定する最もコンパクトな表式の厳密解を求めた。また、単一位相整合法で成功確率が1の探索を達成するための探索ステップ数と、グローバーのアルゴリズムの最適探索ステップ数との関係を明らかにした。さらに、Li & Li あるいはそれと物理的には等価な Long の位相整合が、任意の標的割合に対して探索成功確率が1という強い条件の下で、Hoyer や Hsieh & Liによって提案されたより複雑な位相整合と比較して、探索スピードにおいても最適であることの明確な証明が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度および平成24年度の研究のうち、「有向オートマトンの最短有向語の長さに関しての研究」、「半群論とオートマトン理論の統合」および「語の周期性の研究」は実施されていない。理由は、当初の計画のうちの一部の研究計画は単年では完了せず継続して研究する必要があったためである。このことを除けば、平成25年度の研究実施計画に記載した「語および言語上の演算の研究」および「オートマトンの代数的研究」も先行して行われており、未実施の研究計画を補っているとも言える。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の研究としては、平成23年度および平成24年度に未実施であった研究を優先的に行う。特に「語の周期性の研究」は、この課題で共著論文を刊行したことのある G. Lischke から5月に研究代表者が Jena に招待されていることと、7月に研究代表者が Lischke を科学研究費補助金により京都に招待する予定なので集中的に研究を行う。研究方法としては数学的手法、特に組合せ論および代数系理論(半群論、群論および束論)の適用が主となる。研究分担者は、平成25年度も引き続き、複数の古典的粒子間の相対論的衝突過程における粒子間のエネルギー移行の問題と量子探索アルゴリズムとのアナロジーについて研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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