研究課題/領域番号 |
23500028
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研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
宮崎 裕 大阪経済法科大学, 教養部, 准教授 (40374607)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Unification Problem / Hybrid logic |
研究概要 |
様相論理を拡張したハイブリッド論理の枠組みを用いて、すべての無向グラフからなるクラスを特徴づける論理体系の構築に成功した。この体系の構築にあたっては、様相論理に付け加えるハイブリッド論理特有の言語を、無向グラフを扱うのに必要最小限のものに限定してある。このことにより元となる様相論理KTBとの違いの本質が明らかになり、かつ今後、ハイブリッド論理の枠組みの中の記号を導入していくことで、さまざまな性質を持つグラフのクラスを論理式で特徴づけることが可能であると考えられる。現在は、見出した論理体系と同等でより扱いやすい計算体系(構文論的ツール)の追求と、無向グラフに対応する代数のクラスを解析するためのユニバーサル代数上の諸概念(意味論的ツール)の考察を行っている。これらの結果は本研究を進めて行く上での非常に重要な基盤となるものである。 様相論理KTBの拡張からなるクラスNExt(KTB)について単一化問題(Unification Problem)を考察し、このクラスにおける単一化のタイプに基づくある種の分類を得た。その副産物として、NExt(KTB)の中のすべての鎖(chains)で特徴づけられる論理L_0が、"NExt(KTB)の任意の論理LについてLがL_0を含めばLは弱推移的、そうでなければ弱推移的でない"という性質を持つことがわかった。このことはL_0がNExt(KTB)内の論理に対し弱推移性に関するちょうど境目に位置し、したがってL_0より上部には大変性質のよい論理が存在していることになる。これはPoland, KatowiceのUniversity of SlaskiのProf. Wojciech Dzikとの共同研究による成果である。 グラフマイナー定理の証明、およびそのもととなるwqo理論に関してはまだ理解が不十分なところがあり引き続き考察が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の取り組みによって、本研究課題を遂行していくための基盤となる論理体系の構築と問題を解析するための数学的ないくつかのツールを整備することができた。初年度はこの部分の研究成果を発表することはなかったが、ハイブリッド論理をグラフ理論の解析に応用するという研究はあまりないために次年度以降いくつかのよい論文が書けるのではないかと期待している。また研究計画当初に予想していた通りグラフマイナー定理は様相論理の意味論的研究で使われるsplittingという手法の枠組みでとらえることがどうやら実際に可能であり、この観点からの研究成果も次年度以降期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は初年度で構築した基盤となる論理体系とそのいろいろな性質についての成果を発表するとともに、いよいよグラフのいろいろな性質についてハイブリッド論理の枠組みを用いて解析していくことに重きを置いて研究を進めて行きたい。同時にそこからグラフの性質に対応する論理式の記述の仕方が分かれば、計算機を使って、個々のグラフの性質を判定する、あるいはいろいろな性質を持つグラフを描画するというようなことも行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
おおよそ研究計画当初の予定通りである。主に購入を予定している物品として、次年度は研究発表用にノートPCを検討している。その他研究成果発表のために国内、および海外への旅費として使用することを検討している。
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