研究課題
平成25年度は、実用性の観点から重要であると考えられる課題として、命令レベルでの並列処理機能の活用、より多くのデバイスを有する実際的なシステムでのデバイス処理の並列性の実現について研究を行った。命令レベルでの並列処理機能の活用は、現在のプロセッサはデータ並列処理を行うことの出来るSIMDユニットを持つものが多いため、これをカーネル内で活用するものである。従来のカーネルは、FPUやSIMDはユーザプロセスで使用することを前提としており、カーネル内で使用することはなかった。従って、データ並列処理をカーネル内で活用できる構造ではなかった。そこで、カーネル内での機能分割により、カーネル内処理にSIMDを用いることで、データ並列処理による処理の高速化を実現できることを明らかにした。デバイス処理の並列性は、センサ等のデバイスを多く持つモバイルデバイスにおける負荷分散に有効である。モバイルデバイスでは、柔軟なインタフェースを提供するためのデバイスが数多く使用されるようになってきており、また複数デバイスが複合的に使用されることもあることから、その処理を並列化し負荷分散を図ることは重要な課題である。そこで、モバイルデバイスにおいてデバイス処理を機能分割し、様々なデバイスに対応可能にするフレームワークを構築した。さらに、デバイス処理の並列性としては、ストレージデバイスとの並列性にも着目し、ストレージデバイスの提供するインタフェースについて考察した。研究期間を通して、OSカーネルの構造や機能レベルでの見直しを行うことにより、OSカーネル処理の並列性を高めることができることを明らかにした。同様の見直しは、現在その重要性が高まっている仮想化環境でも可能であることから、その方向に、本研究を発展させることも可能である。
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International Journal of Networked and Distributed Computing
巻: Vol.1, No.3 ページ: 159-166
10.2991/ijndc.2013.1.3.4