研究課題/領域番号 |
23500035
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
徳田 雄洋 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (30111644)
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研究分担者 |
野呂 智哉 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80401553)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 連携システム / マッシュアップ / 自動生成 / 携帯機器 / モバイルアプリケーション / Webアプリケーション / Webサービス関数 |
研究概要 |
現在,アプリケーションソフトの実行環境は,伝統的なパソコンデスクトップ・Webサーバ・Webクライアント上から,Android環境やiOS環境の携帯機器上へと急速に拡大している.携帯機器としてはスマートフォンとタブレットコンピュータが代表的である.これらの携帯機器上では,位置情報,画像認識,手書き入力,音声読み上げなどの高度ソフトが無料で利用可能である.もしこれらのアプリケーションソフト同士やWeb上の各種サービスを連携させるシステムが容易に生成できるならば,従来存在しなかった全く新しいタイプの高度応用システムを次々と実現することが可能となる.本研究はWebサーバ/クライアント・携帯機器上の高度連携システムを宣言的記述から作り出す自動生成方式を開発し,その有効性を実証する研究である. 平成23年度は1台の携帯機器上の複数応用システムと外部Webアプリ/サービスの連携システムの記述方式と実装方式を開発した. 1台の携帯機器上で連携させたい仕事全体を記述するXML記述方式を開発した.仕事の1つ1つの単位は,機器内のモバイルアプリの起動,外部Webサービスの入力パラメータ付き呼び出しと結果取得,外部Webアプリケーションの入力データ付き起動と出力ページの部分情報抽出に基づく結果取得である. 1台のAndroid機器内でXML全体記述から,連携システムをモバイルアプリとして自動生成する方式を開発した.さらに連携システムを,Webサービス関数として,あるいはWebアプリケーションとして生成する方式も開発した. これらの成果については,Web工学の世界的会議であるICWE国際会議において論文発表を行った.ICWE国際会議においては,Webサービスの連携,Webアプリの連携,モバイルアプリの連携を追求している研究者と意見交換を行い,有益な情報やコメントを得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の現在までの達成度は,おおむね順調に進展している.標準的Android携帯端末の1つであるスマートフォンのNexus One上で代表的な連携システムを自動生成することに成功している. 複数端末上で連携を扱う場合において,連携の中心端末としては,Android携帯端末を想定している.また連携に参加する端末としては,Android携帯端末およびiOS携帯端末を想定している.連携の中心端末においては,Webサーバを配置する.Webサーバとしては,モバイル端末用の代表的WebサーバであるAndroidプラットフォーム用i-Jettyシステムを利用する. 一般にデータフローに基づくアプリ連携は,共有の子ノードを許す木構造上の計算実行となる.この計算実行開始から実行終了までの処理時間を効率化する実行方式の検討も進行している. また従来iOS携帯端末では実行上の制約・制限がきつく,Android環境のintent呼び出しのような連携機能が存在しなかった.しかしながら最新版iOSへの改訂により,限定的な連携機能を扱える方法が出現しており検討を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は複数の携帯機器上の複数応用システムと外部Webアプリ/サービスの連携システムの記述方式および実装方式を開発する.XML全体記述から連携全体を直接に連携する方式,あるいは各機器上に分割して連携する方式を開発する. Android携帯機器内で,全体記述あるいは分割記述から,連携モバイルアプリを自動生成する方式を開発し,実装する.iOS携帯機器内でも,連携の参加端末として,全体記述あるいは分割記述から,外部Webサービス関数や外部Webアプリを起動しながら連携するモバイルアプリを自動生成する方式を開発する. 平成25年度は,連携システムの総合評価を行い,WiFi環境および一般Web環境で評価する.連携システムの実行環境として,WiFi環境で1台または2台以上の携帯機器をサーバとした無線LAN方式と,一般Web環境で,Web上の1つのWebアプリケーションを中心とした一般Web方式の2つの方式を実装する.そして総合評価を,無線LAN方式,一般Web方式で,1台や複数台の携帯機器を用いて,位置情報,画像認識,音声読み上げを用いる連携,機能の豊かな携帯機器による機能の制限を持つ携帯機器の機能代行,1台の携帯機器から複数の携帯機器への一斉問い合わせのような例を含め典型的な連携システムを用いて行う モバイルアプリおよび携帯端末の技術的進歩は急速な日進月歩状況にある.成果発表においては,現代的なモバイル端末の特性を活用したモバイルアプリ,Webサービス,Webアプリの高度連携をわかりやすく示すデモを工夫したい.さらにデモアプリはビデオ収録して広く公開したいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
予算は研究成果発表,研究補助謝金,その他に分類して使用する予定である. 研究成果発表においては,国外開催の国際会議で研究成果発表を行う予定である.国際会議に出席し,最新情報の取得も行う予定である. 研究補助謝金においては,本研究のシステム開発の一部を行う予定である.システム開発では,複数携帯端末用の連携アプリ自動生成系を実現する予定である.さらに新版iOSの出現により,Android環境におけるアプリ連携機能と類似の機能が制限条件の下に可能となった.そこでiOS環境におけるマッシュアップ用の基盤的仕組みを実現する予定である. その他においては,消耗品などに使用する予定である.
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