研究課題/領域番号 |
23500039
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
田原 康之 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 准教授 (30390602)
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研究分担者 |
大須賀 昭彦 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 教授 (90393842)
中川 博之 電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助教 (40508834)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 計算機システム / 情報システム / ソフトウェア開発効率化・安定化 / ソフトウェア学 / ディペンダブル・コンピューティング / 自己適応システム / ソフトウェア検証 / ゴール指向要求分析 |
研究概要 |
近年ソフトウェアの大規模・複雑化に伴い,環境の変化に対しても人が介在すること無く,動的に環境に適応するソフトウェアが求められるようになっている.そこで,環境や実行状況の変化に対しても,与えられたゴールを達成するために振舞いや構成を切替える自己適応システムが注目されているが,その開発,特に振舞いの正しさの保証はいまだ容易であるとは言えない.そこで本研究では,自己適応システムの検証に状態マシン図などのUMLモデルだけでなく,ゴール指向要求記述も利用することにより,各検証に必要な状態数を抑制するとともに,要求に対して直感的に検証結果を確認することのできる自己適応システムの検証手段を確立し,検証をサポートするツール群(変換ツールおよび検証ツール)を実装する.平成23年度は,テーマ1「要求記述と検証記述の対応関係の決定」,テーマ2「適応を考慮した検証手段の確立」の遂行の核となる記述言語・アルゴリズムを設計し,個別の実装に取り掛かった.テーマ1,2に関しては,各機能に求められる要件を整理し,記述言語を定義することで,テーマ1で決定したゴール指向要求記述を利用した,検証式に対するモデル検査手法を確立し,その後ゴール指向要求記述KAOSを利用した自己適応システムの開発手法やモデル駆動型の検証プロセスといった既存の成果を基盤として要求記述から検証記述を抽出,決定する手段,およびモデル検査に有効な既存ツールをを自己適応システム検証のために拡張したツールを実装した.テーマ3「検証結果を反映した実装モデル構築手法の確立」に関しては,自己適応システム実装のために必要とされる状況の監視,分析,変化の決定,コンポーネントの切り替えによる変化を実現することのできる実装モデルの検討に取り掛かった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は,テーマ1「要求記述と検証記述の対応関係の決定」,2「適応を考慮した検証手段の確立」の遂行の核となる記述言語・アルゴリズムを設計し,個別の実装に取り掛かった.テーマ1,2に関しては,各機能に求められる要件を整理し,記述言語を定義することで,テーマ1で決定したゴール指向要求記述を利用した,検証式に対するモデル検査手法を確立し,その後ゴール指向要求記述KAOSを利用した自己適応システムの開発手法やモデル駆動型の検証プロセスといった既存の成果を基盤として要求記述から検証記述を抽出,決定する手段,およびモデル検査に有効な既存ツールをを自己適応システム検証のために拡張したツールを実装した.テーマ3「検証結果を反映した実装モデル構築手法の確立」に関しては,自己適応システム実装のために必要とされる状況の監視,分析,変化の決定,コンポーネントの切り替えによる変化を実現することのできる実装モデルの検討に取り掛かった.以上により,本研究の目的のうち,要求を反映した検証記述の導出(課題1),および振舞いの変化を考慮した検証プロセスの確立(課題2),について、一定の成果を得たものと評価する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は,テーマ1「要求記述と検証記述の対応関係の決定」,テーマ2「適応を考慮した検証手段の確立」,テーマ3「検証結果を反映した実装モデル構築手法の確立」を完遂し,各テーマの成果を統合した検証フレームワークを完成させる.(1.2)変換アルゴリズムの設計・実装,(1.3)パターン抽出,(2.2)モデル検査法の検討・ツール選定,(3.1)実装モデルの検討,(3.2)検証結果を反映した実装手段の検討をそれぞれ達成し,これらのテーマ1~3の成果をもとに,自己適応システム検証用のフレームワークを完成させる.平成25年度は,システム検証実験を通じて研究成果を評価し,その成果を公開・発表する.まず,前年度までのテーマ1~3の成果である検証フレームワークを利用した,自己適応システム検証実験を通じてその有効性を評価する((4.1)検証実験,(4.2)有効性評価・まとめを達成).並行して,テーマ1~3の成果をそれぞれ国内シンポジウムや国際会議へ投稿し,研究成果を発表する.また,これらの成果を統合した検証フレームワークをWeb上で公開する((4.3)公開を達成).
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に研究費を使用する予定なし.
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