研究課題/領域番号 |
23500052
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中所 武司 明治大学, 理工学部, 教授 (70257129)
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キーワード | 情報システム / ソフトウェア学 / 環境技術 / green-by-IT / フレームワーク |
研究概要 |
持続可能な社会実現の一環として,IT技術の適用により資源の節約や環境保全を達成する Green by ITを促進するために,本研究では,日常生活の中でのエコ活動に有用なシステムをその担当者自身が実現できれば大きな効果が期待できるという観点から,エンドユーザ主導開発のキーとなるWebアプリケーション開発のためのドメイン特化型フレームワークの研究を実施している. 24年度は,まず,前年度に確立したドメイン特化型フレームワークを前提としたモデル定義技法を具体化するために,不用品再利用システムを例題アプリケーションとして取り上げ,ビジネスロジックの定義方式を考案した.その前提条件として,フロントエンドシステムとしてのユーザインタフェースと,バックエンドシステムとしてのデータベース管理と,その間に位置するビジネスロジックを,明確に3種類のサブシステムとして分割した3層アーキテクチャで構成することを想定している.その条件下でのエンドユーザ主導開発では,特にユーザインタフェース駆動型のアプローチが適しているので,業務処理内容を定義する以下のようなテンプレートを導入した. (1) UI:システムは利用者から要求を受け取る,(2) BL:システムはその要求を処理,(3) DB:システムは必要に応じてDBにアクセス,(4) BL:システムはDBアクセス結果を処理,(5) UI:システムは結果を表示. インターネット検索で収集した再利用支援サービスのビジネスロジックの一部について,この{UI→BL→DB→BL→UI}のテンプレートを適用して要求定義をしてみた.多様なビジネスロジックが存在したが,ワークフローの中に位置づけて定義するケーススタディを実施し,その効果を確認することにより,本テンプレートは要求定義に有用であるという結論を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度には,エンドユーザ主導開発における主要な技術課題であるビジネスロジックの定義方法に関して,その目標を概ね達成できた. ドメイン特化型フレームワークの研究開発の前提としている3層アーキテクチャと親和性のよいビジネスロジック定義方式を考案するとともに,この方式を支援するビジネスロジック定義テンプレートをエンドユーザに提供することにより,エンドユーザはIT技術を習得することなく,業務内容を定義できる.この技術を用いることにより,ビジュアルツールによる支援が可能となった. 本方式については,例題アプリケーションである不用品再利用システムのビジネスロジックに関する記述実験により,妥当性を検証した. 以上の研究成果は,国内の学会の研究会および国際会議で発表した.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,23年度および24年度の研究成果を踏まえて,以下の研究課題に取り組んでいく. (1) ドメイン特化型フレームワークに基づくビジュアルモデリングツールと変換ツール開発 今回考案したビジネスロジック定義方式をベースに,エンドユーザ(業務の専門家)自身がテンプレートを利用してビジネスロジックを定義できるようなビジュアルツールを開発する. (2) 適用実験と実現可能性の評価および改良 開発したビジュアルツールを用いて,実用レベルの身近なWebアプリケーションの開発実験と評価と改良研究を行なう.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度使用予定の研究費については,方式検討などの理論的研究と関連の調査が主要な研究内容となったため,予定していたプログラム開発のための機器購入とプログラミング作業の謝費に使用予定の予算が次年度に繰り越しとなった.この研究費については25年度使用予定の謝費のための研究費と合わせて年間を通じて計画的に使用していきたい.
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