研究概要 |
持続可能な社会実現の一環として,IT技術の適用により資源の節約や環境保全を達成する Green by ITを促進するために,本研究では,エコ活動に有用なシステムをその担当者自身が実現できれば大きな効果が期待できるという観点から,エンドユーザ主導開発のキーとなるWebアプリケーション開発のためのドメイン特化型フレームワークの研究を実施した. 初年度および次年度は,まず,ドメイン特化型フレームワークを前提としたモデル定義技法を確立し,そのモデル定義技法を具体化するために,不用品再利用システムを例題アプリケーションとして取り上げ,3層アーキテクチャを前提としたビジネスロジックの定義方式を検討した.その結果,業務処理内容を次のように5項目で定義するテンプレートを考案した.(1)UI:システムは利用者から要求を受け取る,(2) BL:システムはその要求を処理,(3) DB:システムは必要に応じてDBにアクセス,(4) BL:システムはDBアクセス結果を処理,(5) UI:システムは結果を表示.そして,不用品再利用支援サービスのビジネスロジックの一部について,この{UI→BL→DB→BL→UI}のテンプレートの適用実験により,その効果を確認した. 最終年度は,これらの研究成果に基づくシステムの試作を通じて,ABCモデル〔アプリケーション(Application)=ビジネスロジック(Business Logic)+ CRUD(create, read, update and delete)〕を確立した.すなわち,エンドユーザによる定義が比較的容易なユーザインタフェースおよびデータベーステーブルの定義と,多様性に対して柔軟に対応する必要のあるビジネスロジックの定義を明確に分離し,前者は,CRUDツールを用いて論理レベルで定義した後,ビジネスロジック定義ツールを用いて後者を定義する方式について,研究試作を通じて有効性を示した.
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