研究課題/領域番号 |
23500056
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
山田 進 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究副主幹 (80360436)
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研究分担者 |
町田 昌彦 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (60360434)
松本 秀樹 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究支援者 (40209648)
大橋 洋士 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60272134)
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キーワード | ハイパフォーマンスコンピューティング / 並列化 / アルゴリズム / 密度行列繰り込み群 / 強相関系 |
研究概要 |
電子間に強い相関のある準2次元(梯子型)量子モデル用のアプリケーションである密度行列繰り込み群(DMRG法)の並列化・高速化を実施した。具体的には1プロセッサあたり6コアのPCクラスタおよび原子力機構が所有するスパコンであるFujitsu PRIMERGY BX900(1プロセッサあたり4コア)での最適化を目指し、マルチコア向けの並列化・高速化を行った。共有メモリを想定した並列化では、実際にPCクラスタを利用して性能評価を行い、コア数が増加しても並列化の効果が得られることを確認した。また、分散メモリを想定した並列化では、超大規模なスパコンであるBX900を利用して性能評価を行い、2000コアを超える並列数であっても並列化の効果が有効に得られることを確認した。この成果により、準2次元量子モデルの系統的なシミュレーションが可能になった。 さらに、この開発した並列DMRG法をSU(n)ハバードモデルへ拡張し、実際に並列シミュレーションを行ったところ、これまで計算することのできなかった規模のモデルに対する粒子分布等の詳細な物理量の計算に成功した。このシミュレーション結果は日本物理学会の年次大会で報告した。 また、この開発で見出した並列化手法を鉄と硫黄で構成される物理モデルのシミュレーションに適用し、実際にBX900を利用して数値実験を行ったところ、効率的な並列計算が可能であることを確認した。この結果から、提案した並列化手法がDMRG法だけでなく、他のシミュレーションにも利用可能な手法であることを確認した。この成果は日本物理学会の秋季大会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
密度行列繰り込み群法(DMRG法)に対するメニーコアを想定した並列化・高速化に関しては、1プロセッサ4コアのFujitsu PRIMERGY BX900および6コアのPCクラスタを利用して並列化および性能評価を行ったところ、コア数が増加しても並列化の効果が得られることを確認した。この結果から、並列化・高速化に関しては当初の予定通りに進んでいると考えている。 さらに、開発した並列DMRG法を実際にSU(n)ハバードモデルに適用することで、大規模なモデルの並列計算を可能にした。また、提案した並列化手法を用いることにより、鉄と硫黄で構成される物理モデルの並列シミュレーションを可能にした。このことから、電子相関のある量子モデルの数値シミュレーションについても順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はプロセッサ当たりのコア数がさらに多い計算機を対象とした並列化・高速化を実施する。そのため、汎用的な計算機アーキテクチャ(プロセッサやネットワーク構造など)に対する並列化・高速化を実施すると同時に、「京」コンピュータのような特定の計算機アーキテクチャを対象とした並列化・高速化も実施する予定である。 また、開発したDMRG法の数値シミュレーション手法を利用することにより、様々な量子多体問題を計算する。また、数値シミュレーションにより得られた結果および理論的解析の両面から電子相関のある量子モデルの性質を考察し、高性能機能材料の機能発現機構の理解を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は最終年度であるため、本研究開発で得られた並列化・高速化技術等のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)に関する成果および計算機シミュレーションにより得られた物理的結果を会議等で発表のための参加費および旅費、得られた成果を論文誌に投稿するための投稿料、の2項目を中心に研究費を利用する予定である。
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