研究課題
フラッシュメモリは電源を切っても記憶内容が消失しないという性質(不揮発性)を持った半導体記憶素子である.フラッシュメモリの高集積化・低価格化に伴い,これをディスク装置に用いたフラッシュSSDが実用化されている.フラッシュSSDは磁気ディスクに比べて低消費電力であり,耐衝撃性に優れることから,モバイル機器への導入が進んでおり,データセンターへの導入も検討されている.しかし,フラッシュメモリとしてよく利用されるNAND型のメモリセルではメモリセルへの書き換え回数に制限があり,一般的に10万回(高密度記録に用いられいるマルチレベルセルの場合はさらに少なく1万回)書き込みを行うとメモリセルが故障して使用できなくなると言われている.そのため,長寿命化の手法が検討されている.今年度はフラッシュメモリの長寿命化のためのウェアレべリング(書き換え頻度の高いデータを過去の書き換え回数の少ないメモリセルに割り付けることによって各セルの書き換え回数を平準化する手法)とガーベージコレクション(書き換え頻度の高いデータを特定のブロックに集めることにより書き換えブロック数を削減する手法)を組み合わせた手法を開発した.これにより,これらの手法を個別に適用していた従来手法に比べて約4割寿命を改善できた.この成果は国内の研究会で発表した.さらに,本手法を応用した並列分散処理システムを開発するための検討を進め,CPUネットワーク内の耐故障通信方式や,信頼度を考慮したグリッドシステムの構築方法についても研究した.この成果は国内の研究会,国際会議,論文誌に発表した.
2: おおむね順調に進展している
開発すべき手法について基本的アイデアが得られ,基礎的な評価が得られたため.
さらに検討を進め,より詳細な評価を得る.成果を国際会議で発表し,世界的に著名な研究者達との議論を通して今後の研究の指針を得る.
成果発表のために国内・外国旅費を使用する.実験データを整理して可視化するためにパーソナルコンピュータとソフトウェアを購入する.
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)
Journal of Information Processing
巻: vol. 20, no.2 ページ: 366-377
International Journal of Electrical Computer Sciences
巻: vol.11, No.3 ページ: 57-63