研究課題/領域番号 |
23500061
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
市川 周一 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70262855)
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キーワード | モデル予測制御 / FPGA / 専用回路 |
研究概要 |
平成23年度は沼津工業高等専門学校に1年間出向したため,研究計画を当初予定から大きく変更して,主として研究項目③「QP求解器の構成検討」と④「演算器・ハードウェアアルゴリズムの検討」を進めた. 本年度も引き続き項目③と④について検討を進めた. QP求解器で用いる演算器(特に除算器)の比較検討と評価を行い,その結果の一部を学会で口頭発表した. 専用回路でMPCを高速化する場合,その応用範囲を考えると,組込みシステムの枠組みで実現することが望ましい.手持ちの評価ボード(Xilinx Spartan-6)で試験的評価を試みたが,論理規模の面からソフトコアプロセッサでの評価が難しかった.そこで新たなボード(Xilinx ZynqおよびArtix)を購入し,システムのフレームワークを整備すした.これは当初計画に明記されていないが,研究項目②「評価基盤構築」に含まれる内容である.購入したボードで試験的評価を進めつつ,より実用的評価を行うためのプラットホームを検討する. 研究項目①「実例研究・応用例の作成」については,昨年度に引き続き企業からの情報収集に努めた.その中でMPC以外の応用について相談を受け,制御プログラムの秘匿化に関する受託研究1件を受託した.本受託研究は,実プラントの制御プログラムの一部を論理回路化してFPGAに実装する技術に関するものであり,一部の要素技術は本研究テーマと共通している.本テーマの副次的産物として積極的に評価されるべきものである.同様に暗号関連の演算回路の実装に関して2件の国際会議発表を行った.これも本テーマと要素技術が共通する研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
項目②「評価基盤の構築」については,研究の必要性に合わせて内容を調整しながら実施を進めている.項目①,③,④についても,進捗報告欄で述べたとおり,研究の進捗に合わせて適切に計画を修正しつつ実施している.
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今後の研究の推進方策 |
研究項目③と④を引き続き優先的に推進し,要素技術について可能な検討・評価を施す.実用的MPCの実装評価については,評価フレームワークの構築を行ったうえで,研究期間内に実現可能なターゲットを検討する. 初年度の特殊事情(1年間の出向)のため,計画変更が強いられ予算執行に遅れが生じた.本年度(単年度)については予算執行を含めて順調に推移したが,通算では初年度の影響を完全に回復するには至っていない.当初計画に執着して無理な回復計画を立てるより,現状で進んでいる部分を重点的に推進することにより,最大限の研究成果が得られるものと考えている. 所属機関内の話ではあるが,平成25年度より,研究代表者の研究室に助教が1名配置される.そこで次年度使用額(B-A)から新規の研究設備を追加購入して,本テーマの研究速度を加速する予定である.研究成果とともに学会発表なども増えることが期待されるので,そのための経費も次年度使用額(B-A)から拠出させていただく予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度導入したFPGA評価ボードで早急に試験評価を行い,早めに実用版FPGA評価ボードを追加導入して,より実用的なシステム構築と性能評価を行う.また,計画の最終年度なので,国際会議での発表・論文出版費用などに重点的に予算を支出する.
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