研究課題/領域番号 |
23500062
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
尾上 孝雄 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (60252590)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 環境情報処理 / 空間認識 / フレーム補間 |
研究概要 |
本研究は、空間認識に基づく音声情報の効率的提示手法の確立とその組込み実装を目指している。平成23年度は、光学系センサ素子を利用し、空間内に存在する物体の距離分布を取得した後に、人物認識により提示対象者の位置を把握するための研究を遂行した。 空間認識の精度向上を目指して、動き検出履歴とコスト最適化に基づくデインタレース手法とそのハードウェア実装を行うことにより、従来のフレーム補間よりも高精度な補間をリアルタイム実行するための方策について模索した。具体的には、STIM (spatio-temporal inpainting method) と呼ばれる手法をベースとし、コスト最適化に基づくライン補間手法にコスト最適化の際の制約を追加することで補間結果の画質を改善するデインタレース手法を提案した。この結果テスト動画像で平均1.9dBの画質改善が得られた。また、0.13umテクノロジでの実装の結果、388kゲート、内部SRAMが829kbitでHDTV動画像を処理可能となっている。 また、人物認識処理自体の高性能化にも取り組んだ。人物認識では、共起輝度勾配ヒストグラム(CoHOG)特徴ベクトルを用いたマッチングに、マルコフ連鎖モンテカルロ法を適用すれば、サンプリング数を削減することができる。さらに、画像の構成要素情報を利用することにより、背景に相当する領域を前処理で取除くことが可能となる。これまでの研究でCoHOGに対するマルコフ連鎖モンテカルロ法の適用では、GPUを用いることで20倍以上高速化を達成できることが判っていたが、本物体認識処理のアルゴリズムを改良することにより更に2倍程度の高速化がはかれることが判った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間認識の精度を向上させるための動画像補間手法について、当初計画通りの性能向上を小さいハードウェア規模で実装することが可能であることが確認できた。また、HDTVレベルの高解像度画像までを対象として処理できることも確認した。認識アルゴリズムについては、予想以上の成果を得ていると言える。当初予定していなかった精度改善を得られる見込みがたったため、実装よりもアルゴリズム改善に注力した。その結果、精度を落とさずに2倍高速化することができるようになった。このことはより実用レベルに近づけたと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H23年度に計画を変更して改良を行った物体認識アルゴリズムのGPU実装を行いその効果を確認する。また、当初計画通り、空間中物体に対するレイトレーシング音響レンダリング処理により、対象者への効果的な情報提示方法の検討とGPU実装を進める。さらに、本研究で対象とするCUDAモデルに適合したインタフェース制御LSIの構成についても研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度に行う予定だった物体認識アルゴリズムのGPU実装については特任研究員を雇用して進める。より実用的な実装形態を探るため、最新GPU搭載ハードウェアと設計実装用計算機を導入する。また、研究成果を国内外の学会ならびに論文誌に公表する予定である。
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