研究課題/領域番号 |
23500081
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
大木 英司 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (70524156)
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キーワード | IPルーチング / OSPF / トラヒックエンジニアリング |
研究概要 |
本研究は,故障やトラヒック需要の変動によるネットワーク環境変化に対して,耐久性のある堅牢な予防的ネットワーク最適制御の基盤技術の確立を目指す。IP (Internet Protocol)ネットワークには,生活基盤に欠かせない情報が転送され,高信頼で安定したサービスが求められるとともに,トラヒック需要が時々刻々と変化し,その予測が困難になってきている。本研究では,安定性に問題があった従来式のネットワーク環境変化に応じた動的な制御アプローチの性能を維持しながら,変化を事前に考慮した予防的な最適制御技術を確立し,ネットワーク運用への適用性を明らかにすることを目標とする。 H23年度では,リンク重み決定時に,予めリンク故障を考慮し,適切なリンク重みを決定する予防的最適化法(PSO: Preventive Start-time Optimization)を提案した。H24年度では,トラヒック需要の変動を新たに考慮して,適切なリンク重みを決定する予防的最適化法を開発した。性能評価では,PSO は,リンク故障によるネットワーク変化を考慮して随時リンク重みを最適化する方式(RO: Run-time Optimization)の問題を回避しつつ,リンク故障なしのネットワークに対してリンク重みを最適化する方式 (SO: Start-time Optimization)と比較して,最悪のネットワーク輻輳率を低減することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンク故障によるトポロジ変動,及び,トラヒック需要の変動を考慮した予防的最適化について,ネットワーク輻輳率の最悪値の最小値を与えるリンク重みを決定する予防的最適化問題についてその解法を示し,性能を評価し,提案方式の効果を示すことに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
トラヒック需要の変動を,確率モデルとして扱う。提案技術を実装したネットワーク運用支援ツールとルータから構成されるネットワークを構築し,実際のアプリケーションを想定したトラヒックをネットワーク上に転送させ,通信品質を評価し,本技術の実運用ネットワークへの実現可能性を明確化する。最終的に,ネットワーク運用者に指針となるネットワーク運用のフレームワークを導出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予防的最適化アルゴリズムアルゴリズムを評価するために,シミュレーションマシンが必要となるため,高速計算処理可能なワークステーションを購入する。汎用のパソコンを用いて実現できるソフトウェアルータを用いて,ネットワーク実験をするため,パソコンを購入する。消耗品については,アルゴリズム評価,アルゴリズム実装で必要となるコンピュータ周辺機器,ネットワーク実証実験で必要となるネットワーク電子部品を予算に計上している。旅費については,国際会議発表を目的とした外国旅費が大きな割合を占めている。これは,得られた成果について,ネットワーク分野でトップレベルの会議であるIEEEの国際会議で研究発表を行うことを想定しているためである。
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