研究課題/領域番号 |
23500082
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
吉浦 裕 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (40361828)
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研究分担者 |
内海 彰 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (30251664)
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キーワード | 情報セキュリティ / プライバシー / ソーシャルメディア / 匿名性 |
研究概要 |
(1) ソーシャルメディアを通じた個人情報の漏洩を防止するために、メディアに発信しようとするコンテンツ(日本語文章)を検査して個人情報の漏洩を検知する技術を検討した。具体的には、平成24年度までに検討したWeb検索に基づく漏洩検知方式に加え、コンテンツに含まれる単語(たとえば作家の名前)から、Wikipediaを用いて趣味(たとえば読書)を検知する方式を検討した。10人の被験者による評価実験を行い、被験者のプロフィールを推定できる見通しを得た。 (2) 複数の個人情報のLinking(照合)によって個人の特定に至る危険性を検知し、警告するために、情報間照合方式を検討した。平成23年度までは、注目者のプロフィール情報(履歴書に相当する情報)との照合を通じて、ソーシャルメディア上の多数のコンテンツのなかから、注目者の投稿したコンテンツを見出す方式を検討したが、それに加え、より社会的に重要な逆方向の照合方式を検討した。すなわち、注目されるコンテンツ(たとえば政治的意見の表明など)との照合を通じて、多数の個人のプロフィールのなかから、注目コンテンツの投稿者を見出す方式を検討した。10人の被験者による評価実験を行い、注目コンテンツの投稿者を10人から特定できる見通しを得た。また、類似のプロフィールの中から投稿者のプロフィールを特定するための識別方式について基礎検討を行った。 (3) 以上の研究を通じて、匿名情報からの個人特定のモデルおよび、外部情報(たとえばWebから公開された統計情報)が個人特定に与える影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初計画通りに進んでいる。しかし、個人情報間の照合において部品として利用している検索サービスが停止となったため,別の同様のサービスを調査し,代わりに利用するために提案方式を修正した.そのため,予定していた個人情報間照合方式の大規模評価および国際会議発表を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施できなかった個人情報間照合方式の大規模評価を行い、その結果を踏まえて方式を改良する。また、国際会議での発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度には,ソーシャルネットワークの発言から個人情報を検知し,さらに発言者を特定する方式の実装および予備評価を行い,大規模評価を行って国際会議で発表する予定であった.しかし,提案方式が部品として利用している検索サービスが停止となったため,別の同様のサービスを調査し,代わりに利用するために提案方式を修正した.そのため,予定していた大規模評価および国際会議発表を行うことができず,未使用額が生じた. このため,大規模評価と国際会議発表を次年度に行うこととし,未使用額はそのためのワークステーション購入および海外出張旅費に充てることにしたい.
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